ネット環境が整った現在では、リアルタイムの気象情報を得ながら台風を追う事は素人でも可能になったが、僅か十数年前ま
では夢のまた夢であり、台風の眼に入りたければ台風の多く通過する地点に引っ越してひたすら待ち続ける他方法は無かった。
しかし、この方法は「運を天に任す」事になり、非常に非効率的であり、実際、筆者も台風を求めて引っ越しを繰り返した挙句、
経済的に破産寸前まで追い込まれ、更に悪いことに最終的に落ち着いた九州が近年、台風の進路から外れつつある事である。
そのような経緯を考えると、台風の眼を拝む事はネット環境が整った現在でも「運任せ」であると言えるのかもしれない。

さて、前置きがなが~くなったが、同じく嵐の眼を一生に一度は拝みたい人のために、今まで培った経験を伝授する事にした。

Ⅰ 準備するもの。
  気象観測機器、カメラは言うまでもないが、車のメンテは忘れない事!!
  いざ出動という時になってガス欠やエンジントラブルは絶対避けたいものである。
  また、非常用電池や食料、救急箱もあった方がいい。

Ⅱ 腐っても鯛(いや台風)、嵐の中を車で走るのは危険極まりないので、早めに出かけて先回りしておくこと。
  この時、予め「ロケハン」をやっておくことをお勧めする。なぜなら、知らない土地では何が起こるか判らないし、駐車スペース
  に加えて飛来物等からの安全が確保され、更に他人から不審人物に観られないよう、第三者の眼が届きにくい場所がBEST
  である。駐車スペースに加え、近場にトイレがある事も重要条件である。
  また、何か急な事態に備え、近くにコンビニがある所が望ましい。

Ⅲ 都市部および公共交通機関の利用は避ける事。
  実際、都市部(福岡市街地)に差し掛かり非常に苦戦したことがある。
  ビル群により空の見通しも利かず更に交通渋滞や不必要に多い信号のために、都市部でのチェイスは先ず不可能である。
  また、公共交通機関や有料道路は閉鎖、欠航、遅延が発生するので絶対使わないこと!!

Ⅳ 夜間のチェースは極力避けよう。
  夜間に嵐の中を走ることは自殺行為に等しい事を念頭に入れておくべきである。
  筆者も何度か危険な目に遭っているし、夜間では思うように観測も出来ないし、写真も撮れないから意味がないのである。

Ⅴ 台風や爆弾低気圧は何故か週末に上陸しやすい。
  この理由ははっきりしないが、確かに週末、とりわけ金曜から土曜日に来ることが多い。
  逆に言うなら、木曜日は来ない場合が多い事も耳に入れておいて損はないだろう。

Ⅵ 上陸地点に向かうのが難しい場合は、抜け地点に迎え!!
  台風の眼は上陸すると速やかに閉じるが、抜け地点で再び開くことが多いからである。

Ⅶ 気象庁の台風情報をアテにしない事!!
  気象庁には大変失礼な事をいうが、台風情報は後手後手に回る事が多く、さらに上陸すると複雑な動きをするために位置
  にもズレが生じているのが普通である。また中心気圧も推定値なので実際と異なってる場合が多く、最大風速値も実際と
  かなり違う場合が有るので注意すること!

Ⅷ 弱まっていても眼がある場合があるので、あきらめない事が肝心である。
  一般的に強い台風ほど眼がはっきりしてると言われているが、決してそうとも言えない。
  極端な場合、熱帯低気圧でも眼はちゃんと存在してるのである。