2004年 9月8日 T0418(ソングダ) |
2004年は記録的に上陸台風の数が多く、総勢10個の台風が本土に上陸した。 そのうちストームチェイス可能エリアに入ったのが3個だったが、勤務や夜間に阻まれて成功したのは18号だけである。 18号は、5日に沖縄本島を直撃し、名護市では観測史上最低である926hPaを観測している。 その後、台風は7日午前中に長崎県佐世保市に940hPa40mの勢力で上陸した。 今回の台風はかなり勢力が強いため、早めに通過予想地点に先回りしておく必要から午前9時までに県西北部の角島大橋の麓に到着する必要があったが、早速観測機器を出して見ると、携帯風速計で30秒間の平均20m、974hPa、島に掛かる橋にはゲートが設けられ、既に通行禁止になっていた。いつもは沖縄を凌ぐようなエメラルドの海も、この日は猛烈な暴風で潮が舞い上がり、飛沫で島は霞んでいる。始めのうち、ここで台風を待ち構えていたが、かなり危険を感じたので近くのコンビニ駐車場に移動した。 しかし、そこも危険になって来たので、8キロ離れた駅の脇の壁に車をくっつけて台風を凌ぐ事になった。 このとき、台風は佐世保市に上陸。上陸時の勢力は940hPa45mであった。ここは偏狭の地、韓国放送の合間を縫ってようやNHKの台風情報と、携帯よりダウンロードするレーダーエコー及びアメダスデータのみが頼りである。 正午、960hPaを切った!!。 風雨は一段と激しく車外に出る事は出来ないが、最大瞬間風速は40mを越えたと思われた。トタン、小枝、屋根瓦が宙を舞ってういるのが見え、真っ白で視界は利かない。そして、遂に始まった、普段は時計の短針の様な気圧計の針が肉眼で動いて見える!! 耳が詰まる。 12時30分頃から何時の間にか風雨が収まっていた。 それは、あっという間で2分と掛からなかったように思う。気圧計の針は955hPaで停まっていた。 早速、倒木や飛来物の散乱する国道を海岸に向けてぶっ飛ばす!。 12時45分、海岸カフェの前に来た時、沖合いおおよそ10km西に雲の切れ間が見えた!。 コレが「眼!?」、残念ながらこの台風には「眼」が無かった。青空は無く、暗黒の雲の切れ間があるだけで、南側には塔のように高い積乱雲はまるで映画「ラピュタ」に出てくる龍の巣のようであった。 気圧954hPa、車外に出たら意外と風が強かった。シャッターを押して中心付近の様子を撮る。風は既に南西に変わり、風速8m、眼の中特有の蒸し暑い空気と方向が定まらない突風を伴い、Tシャツはにわか雨でじっとり張り付いた。 12時50分、西南西の風10m、ザーっと大粒の雨が潮風に混ざってTシャツを濡らした。そして、眼と思われた明るい雲間はあっけなく向津久半島を越えて日本海に抜けて行った。この間、おおよそ10分だった。 12時55分、958hPa、吹き返しはそれほど激しくなく、15m位、雨も直ぐに収まり、13時30分には空は明るさを増してきた。非常に勢力が強い状態にも関わらず、エコーでは眼は確認されず、強い台風にハッキリした眼があると言う説は必ずしも当て嵌まらない。 ストームチェイスによる観測では、12時35分からおおよそ15分間下関市角島上空に眼と思われる積乱雲の切れ目を確認したに過ぎず、眼の中でも位置の定まらない、15m位の突風が風が吹いていた。 13時30分、帰路につく。 この台風に伴う最大瞬間風速は長崎で55m、広島で60m、山口で51m、日田で45m、だった。 記録的な暴風だった広島では空港が高潮で冠水、世界遺産の厳島神社も倒壊した。 総降水量は下関市で168mmを記録した。 この台風は北海道を通過するまで勢力が落ちなかったために、北日本の広範囲で記録的な暴風が吹いた。 |
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