福田家の朝ごはん

 (所属団体の会報より)
 「私の朝ごはん」などという雑誌グラビアはどうしても読者の目を意識した上品な献立が並ぶが、それでも夕食や、もてなし料理にくらべると当主や家族のライフスタイルがうかがわれて興味深い。
 休日の早朝に福田正明氏の家へおじゃました事があり、ちょうど家族揃って朝食の最中なのでお相伴にあずかった。突然の訪問だから作意のない日常の食事で、宍道湖のほとりに暮らす半農半漁の家の正統な献立だった。驚いたのはご飯だ。すこし黄色がまざったのもある明らかな古古米でみごとに不味いお米だった。
 「米作農家だから自家用に古い米をたべているの?」と聞いたところ「もらった新米はお客さんに食べてもらって、家族は古米を常食にしている」との返事。地元に依頼されてちょっとしたお世話すると、お礼にお米をくださるとのこと。利権を求めない姿勢に、地元では「お寺につきたての米を差し上げるように福田議員にもお米を上げよう」という事のようだ。「新米ができたけん飯米でごわす」と投げ込んでくれる親しい友人もいる由。
 古き良き村落共同体が生きていた時代、年末にはかならずお米を持ってお寺へ挨拶に行ったものだ。田舎に暮らす政治家は地元にとってもお寺さんのような存在なのかもしれない。お寺のご家族が檀家の斎米で家族の命を養っておられたように、福田正明氏の米びつには人々の思いがこもったお米が貯まっているように思えた。