道網とモンドルの総延長は130メートル。これらをすべて湖に突き立てた竹によって支えるのです。ひとヒロに一本の目安で立てるとして約130本の真竹が必要です。秋の切り時を見計らって六寸口径の良く伸びた真竹を湖北の山から切り出します。湖底の泥へ突き立てるのに2メートル、水深が4メートル、水面から上は舟に立って胸の高さにしますので2メートル、あわせると必要な竹の長さは8メートル近くにもなります。この竹を秋鹿の港へ運び、長い鉄の棒を使ってフシを抜いて水に沈みやすくします。つぎにナタをふるって根元を鉛筆の形に尖らせます。湖底に突き立てるためです。
まず前年に立てた竹を湖底から引き抜かねばなりません。抜いた竹は、湖底や水中にある部分は新品同様ですが、水位差の激しい湖面部分は一年で腐食しています。抜いた竹の汚れ方や海草とか貝類の付着具合で湖水の健康状況を判断しています。
竹たては、日の出前から日没まで毎日十時間以上舟の上での重労働です。8メートルの太い竹を、まっすぐ縦にブクブクと沈めていきます。湖底にあたると満身の力をもたせかけて祈るように竹を突き立てていきます。真冬の烈風にも怒涛にも耐えて網を守り、湖の幸を護り給えと念じます。十日近くもこんな準備にかかって、やっと網を張る段取りになります。
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