平成18年3月 一般質問
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平成18年3月の定例県議会で次の一般質問を行いました。
○島根原発2号機で導入計画のプルサーマルについて (質問・答弁答弁詳細へ)
☆国の方から先に島根原発2号機導入についての安全審査をして、
安全性が認められれば国が責任を持って島根県と松江市に対して
導入申し入れをするというのが筋ではないか
☆プルサーマルに関しての佐賀県の検討方式についてのの見解は?
☆回答時期について、県は松江市の意向を第一義に尊重する考えか?
☆プルサーマルの新交付金制度が創設されたが、その内容は?
○木質バイオマスについて (質問・答弁答弁詳細へ)
☆地域で製造したペレットの利用でエネルギーの地産地消と、
地域産業の育成を目指した森林資源の循環型政策実現を
○水と緑の森づくり税の使い方について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆現行の水と緑の森づくり税の使い方は見直すべきだ
○観光・文化検定試験について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆観光検定導入の取り組みは全国への情報発信に絶大な効果があると考えられる
○高速道路の利活用と地域振興について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆安来道路にパーキングエリアの整備をする必要がある
☆シーニック・バイウェイ・ジャパンプロジェクトは、
宍道湖・中海圏域の地域振興にとってうってつけのプロジェクトだと考える
県における取り組み状況は?
○障害者自立支援法及びコミュニケーション支援について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆障害者自立支援法の円滑な施行に当たり、県として市町村に対してどんな支援を?
☆障害福祉計画の県としての基本的な考え方や課題、策定のスケジュールは?
県や市町村の計画には、障害者の方々の意見を反映させることが必要だ、十分な配慮を
☆コミュニケーション支援事業について、県として市町村に対してどんな支援を?
☆コミュニケーション支援事業の利用者負担事業について、県の考え方は?
☆社会参加を促進する上で重要な補助金の予算確保について国に要望される考えはないか
☆市町村事業を充実させていくための県としての人材育成の考え方は?
○松江高等専門学校について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆県、地元自治体、企業など関係機関の応援が必要
○中海の漁業者組織の一本化について (質問・答弁答弁詳細へ)
☆中海の漁業調整や水産振興について鳥取県と協議をしていくためには、
本県関係者が大同団結し取り組んでいく体制が必要。
そのためには、中海の漁業者組織を一本化することが重要。
中海の漁業者組織の現況と一本化に向けた県の認識と対応は?
島根原発2号機で導入計画のプルサーマルについて
【質問内容】
島根原発2号機へのプルサーマル実施は、中国電力と島根県並びに松江市が結んでいる安全協定の事前了解事項に該当するため、県と松江市の了解が必要となります。現在、県と松江市においては、それに向けて検討作業が行われております。
このプルサーマル計画の実施は、核燃料サイクル政策のかなめとして国策という形で促進されています。ところが現行の仕組みは、中電から申し入れを受けた県と松江市がプルサーマルの必要性、安全性など受け入れについて汗をかいて、地元が了解という回答が出ると、その返事を受けた形で今度は国が詳細にわたって安全審査を行い最終結論を出すという流れ、構造になっております。
プルサーマルが国策であるならば、まず国の方から先に島根原発2号機導入についての安全審査をして、安全性が認められれば国が責任を持って島根県と松江市に対して導入申し入れをするというのが筋ではないでしょうか。
知事にお尋ねします。現に佐賀県知事が国の安全審査を終えた後に県として検討されていますが、この方式についてどのようにお考えになりますか。
次に、プルサーマル申し入れに対する島根県と松江市からの回答時期について伺います。
全国の原発立地地域は、ほとんどが過疎に悩む小規模町村のため、どうしても行政能力に限界がありましょうから、受け入れの判断に当たっては、県の意向が強く働くのもやむを得ないでしょう。そうした状況によって、県が了解してから立地町村がそれに倣うというパターンが繰り返されてきたと思います。ところが今回、松江市の場合は、人口約20万人、しかも県庁所在地という全国初の原発立地都市になったわけです。これまでの鹿島町の単独判断と異なって、合併して大松江市になった市民の理解を得るには手間暇がかかるのは必定です。このような状況変化を踏まえ、回答時期について、県は松江市の意向を第一義に尊重する考えかどうか、知事の方針をお尋ねします。
今般、プルサーマルの新交付金制度が創設されましたが、その内容をお知らせください。この交付金制度は、トップランナー方式と言われ、来年度、平成18年度にプルサーマルを受け入れた県に対して交付されると聞いていますが、松江市の現状では、期限内にゴールできない可能性があります。プルサーマルが国策ならば、新交付金制度はトップランナー方式ではなく期限を設けない恒常的な制度にすべきだと考えております。知事は、国に対してそのように要請されるお考えはありませんか。また、交付対象は県になっており、県を通して立地市町村に配分が行われる仕組みになっています。原発は立地があっての政策です。県は、合併により隣接市町村がなくなった現在、立地市である松江市を主とする考え方にスタンスを変えるべきですが、知事はどのようにお考えでしょうか。
【知事】
まず、プルサーマルに関しての佐賀県の検討方式についてであります。
安全協定に基づく事前了解願の取り扱いについては、各立地県においてそれぞれの地域の事情で異なっているものと認識しています。
原子力発電所の安全対策につきましては、法令に基づき国が規制、監督を行っているところですが、県といたしましては、原子力の利用に当たっては周辺住民の安全確保が大前提であり、原子炉施設について重要な変更を行う際には、まずは地元住民の理解を得るということが必要不可欠であると考えております。このため、中国電力との安全協定の運用に当たっては、これまでも国に安全審査を申請する前の段階で、県に対し事前了解願を提出することを求め、国の審査に先駆け県としての判断を行ってきたところです。したがいまして、今回のプルトニウム混合燃料の使用計画についても、その必要性、安全性などについて県としてきちんと検討し、国の技術的な審査に先立って県としての基本的判断を行うべきものであると考えています。
次に、松江市の意向の取り扱いについてお答えをします。
中国電力からの事前了解願については、現在、プルトニウム混合燃料に関する懇談会で必要性や安全性について検討いただいているところです。県としましては、今後、懇談会からの意見や専門家の見解を踏まえ、今回の計画についての考え方を整理したいと考えています。その上で地元松江市の意向も伺い、県議会にもお諮りをした上で最終的な対応を決定したいと考えています。
次に、プルサーマル導入に伴う新交付金についてであります。
国では、核燃料サイクル政策を推進するため、県と地元市町村の事業を対象とし、平成18年度から新交付金制度を創設することとしています。この交付金は、先進的に取り組む自治体を支援する目的で、同意時期の要件が設けられており、使用済み燃料の中間貯蔵施設など核燃料サイクル施設の設置に対するものは今後数年間に同意した場合、プルサーマルの受け入れや運転に対するものは平成18年度中に同意した場合に交付されるものであります。その額は、運転開始までに総額で10億円、運転開始後5年間で総額50億円が交付されることになっています。これは、国が平成22年ごろまでを目途とするプルサーマルの実施などを盛り込んだ核燃料サイクル政策を推進するため、インセンティブとして制度化するものであるという説明を受けております。
現在、島根原子力発電所におけるプルサーマル導入については、事前了解の可否に関して懇談会において鋭意検討を行っていただいている段階でありますが、国から非公式ながら交付金の要件である平成18年度中の同意については厳正に運用していきたいとの情報を得ています。本県としては、まずは懇談会の検討を先行させて、この問題に対応していきたいと考えています。
また、仮にプルサーマル導入に同意し、交付金を受ける場合でありますが、この制度は、あらかじめ振興計画を作成することになっていると聞いていますので、地元松江市と十分協議し、原子力発電所立地地域の振興に役立つような事業に使っていきたいと考えております。
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木質バイオマスについて
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【質問】
昨年春、松江市を中心にまきストーブを愛好する者が集まり、薪ストーブ同好会が設立されました。私は、七、八年前から自宅で時計型と呼ばれる東北地方を中心に愛用されている簡易なまきストーブを使っていますが、大変好評で、ことしは松江市内のホームセンターの店頭にも並ぶようになりました。
薪ストーブ同好会は、昨年3回のまき割りを実施し、約20立米のまきをつくりました。これは灯油に換算すると3,200リットルになりまして、自然環境にいささかの貢献ができたのではというふうに思っております。この冬の記録的な寒波で灯油の高騰が拍車をかける中、まきストーブは大活躍をしています。
また昨年は、山林の活用を目的にしたこの会の熱心な県庁職員の勧めによって、私が関係する福祉施設に初めてペレットストーブを購入して、施設利用者の食堂のホールに設置をしました。この木質ペレットは、木材などの粉末を熱圧してできる植物由来の固形燃料で、薬のカプセルのような形状、含水率が均一の利用しやすいエネルギーで、欧米ではストーブ、ボイラーなどに広く利用されていると聞いています。最近、鳥取県の片山知事がもう3年も前から県庁知事室で、この木質ペレットをエネルギーとするストーブを快適に使っているという情報を行政雑誌で知りました。その中で片山知事はこう記されております。既に鳥取県内では、おがくずを原料とした木炭を生産している企業もある。これまでコストをかけて処理していたおがくずが環境適合型の燃料に生まれ変わるのだ。しかも、その生産過程で地域に雇用をもたらし、所得につながるのであるから一石三鳥と言っていい。いずれにしても、先端技術を駆使したバイオマスエネルギーの消費市場が拡大していくことは望ましいことだし、その市場の拡大に支えられて、これに関連する企業の成長が大いに期待できよう。それにつれて、エネルギー最貧地域、最も貧しい地域だと思われていた我々の地域が、実は木質バイオマスという産出地域に生まれ変わることも夢ではないのだ。今のところは、ささやかな段階にすぎないが、徐々に進行しつつある第2次エネルギー革命がこれからの産業育成、地域の再生につながることを確信していると、こういう意気込みを発信されています。
島根県の山林の現状を考えると、林地残材、製材廃材、竹林などの有効活用を図る必要があります。まず県内の公共施設、学校、福祉施設、農業用加温施設、事業所などで使用されている化石燃料使用のストーブを木質ペレット使用のストーブに変換し需要を発生させる。そして原料供給元の森林組合などの林業事業体や製材所などによって協同組織を立ち上げ、ペレットを生産し雇用を生み出す。地域で製造したペレットが地元で利用されるということになり、エネルギーの地産地消ができて、地域産業の育成を目指した森林資源の循環型政策実現につながります。
島根県の木質バイオマス推進について知事の方針をお尋ねします。また、早急に知事室にペレットストーブを導入され、島根の火種をおこす考えはありませんか。来年度は、まず教育の現場、学校を対象に設置するのが望ましいと考えますが、御見解をお聞かせください。
【知事】
本県は、県土の約8割が森林で占められており、豊富な木質資源を木質バイオマスとして有効活用を図るということは、地域経済の振興と環境保全の両面から重要と認識しております。本県においても、製材工場での木材乾燥や福祉施設での給湯・暖房に木質バイオマスボイラーの導入が見られております。今後、木質バイオマスの導入を加速するため、民間企業が自然エネルギーを利用した施設を導入する場合に低利の資金を貸し付ける島根県環境資金を活用したり、水と緑の森づくり税を使って県民が新規にチップボイラーを導入する際の木材チップの購入を支援したり、ビニールハウス等の農業用に使える機器の開発をメーカーに働きかけるなどして、木質バイオマスを推進したいと考えております。
また、知事室への設置の御質問がありましたが、本県でもペレットストーブのよさを知っていただくため、県の施設である中山間地域研究センターとふるさと森林公園に既に設置しております。そのほか、普及を図るための活動として、島根ふれあい環境財団21が昨年秋に省エネ住宅フェアでストーブを展示PRしたり、5台のモニター調査を実施しておりますが、今後もこのような機会をとらえて普及に努めたいと考えております。また、教育現場への設置については、環境教育の視点にも配慮しながら、スペース、コスト、さらに維持管理などについて総合的に検討してまいりたいと考えております。
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水と緑の森づくり税の使い方について
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【質問内容】
水と緑の森づくり税の約60%は、荒廃森林の間伐と広葉樹植栽を支援する森林再生事業に充当されています。この新税は、国の補助対象ではない島根県独自の政策を実施することを方針に打ち出されたために、受益者負担なしで100%税金投入の新規事業として取り組まれたものです。
一方、来年から国は新たに森林環境保全整備事業という、このたび島根県が実施した単独事業の内容とほぼ同様な補助事業を創設したと聞いています。その事業は、国費が10分の3、それに県費10分の1を上乗せすることによって、合わせて10分の4の補助率で実施されます。島根県が水・森税によって新設された事業の中に国の補助事業を導入すると、県単独で実施した同じ内容の事業の4倍もの仕事ができるわけです。平成18年度の県単独事業は、今年度に比べて約2倍、1億3,600万円を投入する計画ですから、国の補助事業に切りかえると、これが5億円を上回る事業として実施されることになります。
こうしたことから、現行の税金の使い方は見直すべきだと私は考えます。特に県財政が厳しい折、県の水・森税という税源を国の補助事業導入という形に膨らませることによって事業量をふやして、その効果を上げると同時に厳しい経営環境にある森林組合など事業主体にとっても有益な使い方に軌道修正すべきだと考えます。そうしてこそタックスペイヤー、納税者に対して説明責任が果たされるはずです。知事は、水・森税の使い方について、来年度は再考するつもりはないのか御見解をお聞きします。
【知事】
議員御指摘のとおり、この税を国の補助事業と関連させて事業量をふやすというのも一つの考え方だと思います。しかし、本税によって実施している事業は、森林所有者による管理が期待できず、長期にわたって手入れがされていない荒廃森林について集中的かつ緊急に必要最小限の手入れを行い、公益的機能を発揮させようとするものであります。
これに対し、今回の国の事業は、森林所有者によって一定の管理がなされている森林について、伐採収入も見込みながら森林所有者の負担を求めて整備するものであり、本税による森林整備とは、その対象や目的等において異なる面を持っております。このようなことから、来年度においても本税による森林整備を今年度と同じ考え方で実施することとし、その整備面積も拡大することとしております。
なお、国の事業については、森林所有者のお考えをよくお聞きして、その実施について検討していきたいと考えております。
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観光・文化検定試験について
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【質問】
京都商工会議所が一昨年末に始めた京都・観光文化検定試験が1万人近い受験者を集めて成功したのをきっかけに、地域の歴史や文化、観光に関する知識を持つ人を試験で認定する観光検定と呼ばれる制度は、地域振興や観光業界の人材育成などに結びつく試みということで全国に広がっています。
この試験は、岡山文化観光検定は岡山商工会議所、九州マスター検定は福岡商工会議所、金沢検定は金沢経済同友会、山口県の萩の場合は萩市、あるいはNPOといったように、その実施主体はいろいろですが、観光振興を目指す団体を中心に導入が行われています。また試験用公式テキストも人気を博して、京都の場合、4万部販売、岡山は市内書店のベストセラーにランクされるなど、観光検定や文化検定試験を実施することにより大変大きなPR効果を上げているところです。
島根県内でも、こうした観光検定導入の動きがあります。他県の例に見るまでもなく、このような取り組みは全国への情報発信に絶大な効果があると考えられますが、知事の考えをお聞かせください。
【知事】
各地で取り組まれている観光・文化検定は、観光ガイドの養成や地元住民のホスピタリティーの向上を目指した制度として全国的にも注目され、議員御指摘のとおり、情報発信に大変効果があるものと認識しております。
本県におきましては、この観光・文化検定とは異なりますが、同様なねらいを持って県内で活躍する各界各分野の人々がそれぞれの特異な分野を生かして観光客を案内するふるさと案内人制度を創設しております。
私自身がテレビやポスターなどで案内人の応募を呼びかけたところ、県内各地から658人の方にお引き受けいただくことができ、先月23日には盛大に認定証交付式を開催したところであります。この交付式に出席した方々からは、誇りとおもてなしの心を持ってふるさとのよさを伝えていく旨の熱意ある決意表明をいただき、今後案内人の方々には、本県のさまざまな魅力を情報発信していただき、また、いただけるものと意を強くしたところであります。
こうした県を挙げて観光客をもてなす制度は、全国でも余り例がない画期的なものであり、私自身も東京、大阪の旅行会社やマスコミに対して制度の周知を図ったところであります。また、より多くの方々に活用していただくため、ふるさと案内人のプロフィールや観光情報を掲載したガイドブックを今月から全国の書店で一斉に発売するとともに、今後とも制度の周知に努め、広く全国に情報発信を行ってまいります。
なお、観光・文化検定は、主に民間が主体となった制度であり、県内でも創設に向けた動きがありますので、県としましても、そうした取り組みに対しては積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
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高速道路の利活用と地域振興について
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【質問】
去る2月7日に開催された国土開発幹線自動車道路建設会議(国幹会議)で宍道−出雲間の高速道路は、西日本高速道路株式会社により整備を進められることが正式に決まりました。平成18年度は斐川インターまで、平成20年代初頭には出雲まで完成することになりました。淀江インターから出雲インターまでは総延長75キロメートルとなり、宍道湖・中海圏域の大動脈がいよいよ完成することになり、地域振興、観光振興にとって大いに期待されます。
これだけの延長になりますと、高速道路利用者へのサービス向上も大きな課題となります。現在、山陰自動車道路には、サービスエリアは宍道湖サービスエリア1カ所となっており、安来道路には全くないのが現状であり、高速道路利用者がトイレの利用などに不自由しているという声を聞きます。また高速道路の沿線には、足立美術館や社寺仏閣など多くの観光施設があるにもかかわらず、これらの圏域を案内、紹介する情報発信施設がありません。これらの状況を踏まえると、大山パーキングエリアから宍道湖パーキングエリア間の空白地帯の安来道路にパーキングエリアの整備をする必要があると思います。しかし、新たなパーキングエリアの整備には莫大な経費を要するため、西日本高速道路株式会社にとっては検討課題だと思われますが、高速道路の理活用を推進する観点から土木部長の御見解をお尋ねします。
また、この地域固有の自然、歴史、風景などをテーマに情報発信を促し、高速道路沿線の多くの観光施設との連携を深めるなど、高速道路を活用した地域振興の具体的な戦略を立てる時期に来ていると思っております。平成18年度から全国でシーニック・バイウェイ・ジャパン「日本風景街道」プロジェクトが展開されることになりました。現在、日本経団連の奥田会長を座長とするシーニック・バイウェイ・ジャパン「日本風景街道戦略会議」というんだそうですが、これが全国20カ所のモデルコースを公募しています。観光客などが高速道路を利用してインターチェンジまで移動し、そこからは宍道湖・中海の自然や歴史を楽しむというシーニック・バイウェイ・ジャパンプロジェクトは、宍道湖・中海圏域の地域振興にとってうってつけのプロジェクトだと考えますが、県における取り組み状況について伺います。
【土木部長】
まず、安来道路への新たなパーキングエリアの整備についてでありますが、御指摘のとおり、パーキングエリアは、ドライバーへの情報提供やトイレ休憩、また周辺地域の振興を図る上でも有益な施設であると思っております。しかし、安来道路は出入り制限のある有料道路の延長が設置基準を下回っておりますために、パーキングエリアはこれまで設置されておりません。今後、パーキングエリアを整備するとなると、本体施設の整備費のほかに安来道路本線の改築、管理用道路の設置など多額な費用が必要となってまいります。この道路を管理いたします西日本高速道路株式会社は、厳しい債務償還などの課題がありますことから負担が大きく、現段階では、その整備は極めて厳しい状況にあると思われます。
このことから、当面トイレ利用者に対しましては、安来料金所や現道沿いの施設の利用をお願いするとともに、観光施設への案内につきましては、沿線の市町村と経済団体で構成する利用促進協議会などと一緒になって主要な観光施設やトイレの位置を明示したマップをつくり配布するなど、道路利用者にわかりやすい情報の提供を行ってまいりたいと考えております。
次に、シーニック・バイウェイ・プロジェクトの取り組みについてであります。
このプロジェクトは、歴史、文化、自然、風景をテーマといたしまして、訪れる人と迎える地域の豊かな交流による地域コミュニティーの再生と美しい道路空間の形成を目指し、地域の住民や関係団体が主体となって活動を行うものであります。平成18年度のモデルルートの応募に向けて、現在、宍道湖・中海圏域の五つの商工会議所が中心となりまして、宍道湖・中海、大山地域を対象に検討が行われているところであります。島根の豊かな自然や地域資源を生かした地域振興や観光交流の拡大は、県政の重要な課題でありますので、県といたしましても計画策定や活動実施に当たって積極的に協力してまいります。
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障害者自立支援法及びコミュニケーション支援について
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【質問内容】
ことし4月から施行される障害者自立支援法は、障害者の自立生活をさらに支援するための仕組みを目指したものです。そしてサービス提供主体は身近な市町村に移ります。そのため施行に当たっては、市町村は短期間に実施準備が要求されています。また今まで県が主となって実施していた精神障害者の支援なども市町村で実施することになり、その体制整備が急がれます。
質問の第1は、障害者自立支援法の円滑な施行に当たり、県として市町村に対してどんな支援をしていくのか伺います。
質問の第2は、障害福祉計画についてです。障害者自立支援法では、各種福祉サービスの提供体制の整備を進めるため、介護保険と同様に国が基本指針を示し、県と市町村に自立支援給付の必要な量の見込みやコミュニケーション支援などの地域生活支援事業の実施に関する事項を定めることになっています。今後の障害者の方への自立生活を支援する上で大事な計画だと思いますが、県としての基本的な考え方や課題、策定のスケジュールについて伺います。なお、県や市町村の計画には、障害者の方々の意見を反映させることが必要だと思いますので、十分な配慮を要望します。
質問の第3点は、聴覚障害者の社会生活に欠かせないコミュニケーション支援についてです。聴覚障害者の関係団体が聴覚障害者のコミュニケーション支援についての実施意向調査を昨年から隠岐を除く県下16町村に直接足を運んで行政担当者と面談をして行って、この1月にその結果を取りまとめられました。それによりますと、市町によってかなり温度差があることがわかりました。
そこでお尋ねします。まず、これまで県が行ってきた手話通訳、要約筆記派遣事業を市町村が実施することになりますが、今後停滞することなく全市町村で円滑に実施される必要があります。県として、市町村をどのように支援しておられるのか伺います。
次に、コミュニケーション支援事業の利用者負担事業については、現在、市町からの意向調査での回答では、その導入について無料のところ、検討中などさまざまですが、県としての考え方をお聞かせください。
また、この事業を含めた障害者社会参加事業への国庫補助金が近年減額されると聞いており、十分な補助金があれば利用者負担の無料化が図られると思いますが、社会参加を促進する上で重要なこの補助金の予算確保について国に要望される考えはないか伺います。
次に、市町村事業を充実させていくためには、手話通訳者、要約筆記の人材を育成していくことが必要です。県としての人材育成の考え方をお聞かせください。
【健康福祉部長】
障害者自立支援法に関する御質問についてお答えします。
まず、市町村支援についてであります。
障害者自立支援法は、身体、知的、精神という障害種別にかかわらず、サービスを利用するための仕組みを一元化したり、また新たな利用者負担を求めるなど極めて大きな制度改正となりました。 議員御指摘のとおり、この法律に基づく各種サービスの提供主体は市町村となり、各市町村では、制度施行を目前に控え諸準備に追われながらも円滑な制度施行に向け万全を期して取り組みが進められています。
県におきましては、さまざまに進められる障害者保健福祉の改革に市町村とともに取り組んでいるところでありますが、このたびの自立支援法施行準備に当たっても、人材育成に必要な各種研修の実施など、県が担う役割をしっかりと果たす一方、市町村に対しては、制度の具体的な内容の周知を初め、今年度から実施している障害者の自立に向けた特別支援事業をさらに充実させサービス提供基盤に対する支援を行ったり、県単独の障害者はつらつ生活支援補助金を拡充して市町村が創意工夫を凝らした取り組みが可能となるよう配慮するなど市町村支援を強化したところです。
あわせて、自立支援法の施行に伴い市町村の役割や責任は極めて大きくなることに配慮し、島根県ヘルプデスクを開設し、市町村からの質問や相談にきめ細かに対応することにしました。
また、新たに設置することとなる障害程度区分認定のための審査会については、介護保険制度の認定審査会を広域で設置した経験を生かし、人材確保が容易ではなく単独設置が困難な町村には広域で対応することを県から提案し、該当市町村間の調整にも取り組んだところです。その結果、7圏域のうち2圏域がこの審査会を広域で設置することになりました。
制度施行まで残された期間はわずかとなりましたが、大きな制度改正という意識をしっかりと持って準備を進め、円滑に制度実施が迎えられるよう全力で取り組むとともに、制度施行後にあっても適切に情報提供や助言を行い、障害者の自立支援に全力で取り組んでまいります。
次に、障害福祉計画についてであります。
この計画は、障害者自立支援法において、障害者の自立と社会参加を進めるために必要なサービス提供体制を確保することを目的として、県及び市町村が定めることとされています。この計画には、ホームヘルプや施設での支援などの福祉サービスあるいは相談支援事業、また地域の特性や利用者の状況などに応じて実施される地域生活支援事業の必要量の見込み、それに対応するための事業量の確保や人材の確保の方策、施設の入所定員総数などを盛り込むこととなっています。
県としましては、これまでも島根はつらつプランに基づき、障害者の地域生活を支援する基盤の充実を図ってきたところであり、これにより促進されてきた地域生活移行の流れを一層加速するため、身近な地域でさまざまな福祉サービスや相談支援が適切に提供できる人的、物的両面の基盤を地域の実情に応じて計画的に整備していくとの基本的な考えのもとにこの計画を策定したいと考えております。
サービス基盤の整備につきましては、今年度から障害者の自立に向けた特別支援事業により一層の推進を図っているところですが、住まいや活動の場、働く場の確保、就労や生活を支える相談支援体制の整備及びケアマネジメント従事者などの人材の育成など、自立生活を支援するための基盤を早急に整備することが引き続く重要な課題であります。とりわけ、施設サービスの新事業体系への円滑な移行、過疎地や離島等条件不利地域における基盤整備の促進、また支援に携わる人材の資質向上を図ることが大切であると考えております。
計画策定のスケジュールですが、今後国から示される基本指針を踏まえ、島根県障害者施策推進協議会において、これまでの県や市町村での取り組みの成果を十分に分析、評価するとともに、国及び市町村と調整しながら検討を進め、来年度末には策定したいと思います。策定の過程においては、障害者の皆さんの御意見も十分にお聞きし、障害者の方が地域に出ていこうと思っていただけるような計画にしたいと考えております。
次に、コミュニケーション支援についてであります。
まず、市町村支援についてですが、手話通訳者や要約筆記者を派遣するコミュニケーション支援事業は、市町村にかわって、これまで主に県が行っていましたが、障害者自立支援法の施行に伴い市町村が行う地域生活支援事業の中の必須事業の一つとして位置づけられました。このサービスは、県としては3月末で終了することとしており、法に基づくと、本年10月から市町村が実施することとなるため、4月から10月までの事業実施に不安の声が聴覚障害者団体から寄せられていたこと、また10月以前に市町村が実施した場合にも、既存の補助制度により対応可能なことから県としては4月から市町村がこのサービスを実施されるよう繰り返しお願いをしてきたところです。
その結果、すべての市町村において、本年4月からの実施が実現できる見込みとなりました。ただ、中には手話通訳者等が居住しておらず、派遣調整がとりづらい市町村もあることから、県としては当面、希望する市町村については県聴覚障害者情報センターの協力を得て、4月から円滑に事業の実施ができるよう配慮することにしております。あわせて、この事業をこれまで県が実施してきた経緯もありますので、県聴覚障害者情報センターが蓄積したノウハウや資料についても市町村担当者会議などを通じて伝達したり提供することにしています。
次に、利用者負担についてでありますが、このサービスについては、障害者自立支援法では特段の定めがなく、実施主体である市町村が任意に定めることができることとなっていますが、現在のところ21市町村のうち19市町村が無料とされる予定で、残る2市町村も間もなく負担の有無を決定されるものと考えております。
次に、国庫補助金についてでありますが、コミュニケーション支援はもとより、地域生活支援事業を円滑に実施するためには、その財源となる国庫補助金が確保されることが必要であり、仮に必要な予算が確保されないこととなると、コミュニケーション支援事業の市町村での取り組みや利用者負担にも影響を及ぼすことが心配されます。県としては、そのようなことがあってはならないと思いますので、これまでも国に対し十分な予算を確保するよう要望を行ってきましたが、今後も機会をとらえて予算確保を求めてまいります。 また、人材育成につきましては、手話通訳者や要約筆記者の育成はもとより、障害者自立支援法の施行に当たって障害者を地域で支える人材を育成することは、まさに県の責務と考えています。そのため、これまでも点訳・朗読奉仕員や盲聾者通訳、障害者ケアマネジメント従事者、障害者ホームヘルパー等の養成事業を行ってきたところでありますが、研修内容については、障害者の皆様の意見も聞きながら十分に検討して、今後も県としての責任を持って取り組んでまいります。
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松江高等専門学校について
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【質問】
一昨年の全国ロボットコンテストにおいて松江高専が初優勝しました。また、全国プログラミングコンテストにおいても2カ年連続全国優勝をなし遂げるなど、最近の松江高専の活躍には目をみはるものがあります。
片や活躍の舞台を地元に転じますと、シジミの自動選別機の開発など地域産業界のニーズや課題に対応した地域密着型の産学連携を実践され、その成果は地元産業界の熱い期待が寄せられています。
現在の松江高専は、高等教育機関としての活力をあらわす科学研究補助金採択件数などのあらゆる数値が近年上昇し、全国の国立55高専の中でもナンバーワンであるという評価を受けていると言われています。独立行政法人化後に他の高専や地方の大学がその運営で苦戦している中、なぜ松江高専はこのように元気なのかという問いに対しては、元気の源は宮本武明現校長先生の存在ではないかと思えてなりません。その宮本校長先生が今3月で退任されることを知り、宮本校長先生が去られた松江高専が今までどおり元気のある松江高専であり続けるためには、県、地元自治体、企業など関係機関の応援が必要ではないかと思っています。
初めに、商工労働部長にお尋ねします。
質問の第1は、近年どのように松江高専が変わったのかをお知らせください。そして、その理由はどこにあるとお考えなのかお聞きします。
質問の第2は、今後の松江高専の課題についてです。ソフト面についてですが、松江高専は、地域の優秀なエンジニアを養成することを使命として、学生ばかりでなく地域の地元の中小企業のエンジニアの養成も検討中と聞いていますが、そのためには、県及び産業界との連携は欠かせないと思います。現在の状況と今後の展開及びさらなる支援の有無についてお尋ねします。
次に、ハード面についてお聞きします。現在、全国の半数以上の高専には、地域の企業との共同研究を初めとする産学連携を一層強化するその附属施設である地域共同テクノセンター、こういったものが設置されていると聞きますが、松江高専にはありません。設置についての考えと見通しをお尋ねします。
知事にお尋ねします。一昨年の12月、全国のロボコン優勝メンバーを知事は表彰されたと聞いています。少子化が進む島根県において、彼らのような優秀なエンジニアを育成することは、産業振興を図る上でも重要な課題であると思います。今年度、松江高専は、文部科学省のエンジニア育成支援採択を受けています。松江高専のこれまでの活躍と、これから期待されることについて所感を承りたく思います。
【知事】
御指摘のとおり、松江高専の最近の業績は目をみはるものがあります。例えば平成13年には、待望の専攻科の設置や産学連携組織である松江テクノフォーラムの設立、また平成15年には、文部科学省・科学研究費の採択で全国高専のトップへ躍進するとともに、全国プログラミングコンテストで、この年から2年連続優勝の快挙をなし遂げられたところであります。さらに平成16年には、全国高専で初めてISO14001を取得され、今年度に入ってからは国の現代的教育ニーズ取組支援プログラム、現代GPと呼ばれていますが、これの採択を受け、地域密着型研究と多彩な講師陣による公開講座「地域産業論」を開講し、画期的な取り組みとしてマスコミにも取り上げられました。わけても平成16年度全国高専ロボットコンテストでの初優勝は、松江高専の名を全国にとどろかせたところであり、昨年の1月には、優勝した学生を知事室に招き島根県功労者表彰を行いました。その際には、学生諸君が、それこそ目を輝かせてロボットの説明や実演を行うのを見て大変頼もしく思うとともに深い感銘を受けました。
このように松江高専を全国トップレベルの高等教育機関に押し上げた学校関係者の皆様、特にこの間、心血を注いでこられた宮本校長先生に対し深く敬意を表するものであります。
次に、今後の松江高専に対する期待についてであります。教育面につきましては、平成18年度の入学志願者数が少子化の中においても昨年度を大きく上回ったと聞いておりまして、松江高専に対する地域の高い評価と期待のあらわれと考えております。
また、研究や地域貢献の面では、今産学連携の一層の充実が求められており、そうした意味からも地域密着型の産学連携を実践されている松江高専に対する期待は、今後ますます高まるものと考えております。
私といたしましても、松江高専が本県における産業人材の育成や産学連携のかなめの機関として、今後一層発展されることを強く期待しております。
【商工労働部長】
松江高専についてのお尋ねにお答えをいたします。
まず、近年、松江高専が変わった状況と、その理由についてでありますが、最近の松江高専は、独立行政法人化後の高等教育機関に求められている教育、研究、地域貢献のすべてにおいて全国トップクラスの評価を受けており、議員御指摘のとおり、全国の国立55高専の中でもナンバーワンであると言っても過言ではないと思っております。その原動力は、平成12年4月に就任された宮本校長先生の的確かつスピード感を持った学校運営によるものであり、またその強力なリーダーシップのもとに教員を初めとするスタッフと学生の創意工夫や努力によるものと考えております。
次に、松江高専の今後の課題と県の対応についてお答えします。
まず、ソフト面についてであります。松江高専におきましては、地域密着型共同研究数の増加等で着実に成果を上げておられますが、県としてあえて課題を挙げるとすれば、産学官連携のさらなる推進と地域産業を担う人材育成の強化であります。産業振興を推進する上で、産業界と高等教育機関の連携、いわゆる産学連携は重要なキーワードと考えており、松江高専において産学官連携が一層推進されるよう、県といたしましても産学官連携コーディネーターを引き続き配置し、産と学との連携を強力に支援することといたしております。
また、人材育成の面では、地元中小企業のエンジニアの養成を図るため、経済産業省の新規事業である高専等活用人材育成支援事業に申請予定であり、県としても、しまね産業振興財団と連携をとり、本事業に採択されるよう支援してまいりたいと考えております。
次に、ハード面についてでありますが、宮本校長先生の在任中に専攻科棟と女子寮の新設、さらには既存校舎の耐震や大規模改修を実施され、議員御指摘の地域共同テクノセンターを残して、その整備はほぼ完了したと伺っております。
この地域共同テクノセンターは、産学共同研究のコア施設として、現在、全国の高専の約半数に設置されていると伺っておりますが、松江高専におきましては、最近の国予算の制約の中で、いまだ設置が実現いたしておりません。県といたしましては、産学連携を推進するためにも、当施設は重要であると考えており、今後、松江高専、産業界、関係機関と連携をとりながら設置の実現に努めてまいります。
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中海の漁業者組織の一本化について
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【質問】
去る1月31日、島根、鳥取両県とで中海の漁業秩序の維持について改めて協定が結ばれました。中海の環境改善による漁業振興策は、両県関係者の英知を集めて取り組む必要があります。そうした状況の中、中海の島根県側の漁業者組織が分裂していることは大変残念なことです。今後、中海の漁業調整や水産振興について鳥取県と協議をしていくためには、本県関係者が大同団結し取り組んでいく体制が必要と考えます。そのためには、中海の漁業者組織を一本化することが重要です。中海の漁業者組織の現況と一本化に向けた県の認識と対応について、知事はどのようにお考えか伺います。
【知事】
中海におきましては、水産業協同組合法に基づく中海漁業協同組合と同漁協から脱退した組合員等で組織されている中海北部漁業組合並びに八束中海漁業組合という三つの漁業者組織があり、それぞれ独自の運営がなされております。
このたび鳥取県と新たな漁業協定を結んだところであり、この協定を踏まえ、今後両県が協調して中海の漁業の管理や振興を図っていくことが必要であります。そのためには、水産資源の保護増殖とその管理に主体的に取り組む漁業者組織の育成が重要であり、本県漁業者組織の一本化が図られることを期待しております。これまでも鳥取県との漁業調整等に関する地元説明会におきましても、各漁業者団体に対し組織の一本化に向けた協議を促してきたところであり、今後も引き続きこれら関係団体に働きかけてまいります。
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