平成19年2月 一般質問

平成19年2月の定例県議会で次の一般質問を行いました。

宍道湖・中海の課題と今後の進むべき方向について     質問・答弁詳細へ
  ☆鳥取県との中海の漁業調整について
  ☆観光振興のために欠かせない食材である両湖の漁業資源を保護について
  ☆「しまねの鮎づくりプラン」
産業振興について                           質問・答弁詳細へ
  ☆倒産の危機から松江藩を救い、豊かな地域につくり上げた政治手法を参考にして、
        知事は、その産業振興に対する思いを県職員全員と県民に表明

小学校の運動部活動について                   質問・答弁詳細へ
  ☆小学生の課外活動の弊害をなくして正常化を目指し、そのあり方を検討を
県立文学館の設置を                  質問・答弁詳細へ
水道の広域化について                 質問・答弁詳細へ
少子化について                    質問・答弁詳細へ

宍道湖・中海の課題と進むべき方向について

【質問】
 澄田知事は、「20年間の政治家生活の中で、印象に残るのは中海問題」と記者会見で述べられましたが、宍道湖・中海淡水化阻止を旗印に同じ選挙で当選した私としては、知事の御発言に感無量の思いがいたしました。この問題では、大変な御心労を煩わせ、御迷惑をおかけしましたが、後生に残るよい決断をしていただいたことは、私にとっても最も印象に残るものがあります。
 この議場でも論戦をいたしましたし、またお招きをいただいて中海問題のために二人だけでさしの真剣な議論をしたこともよき思い出でございます。青臭い議論を正面から受けとめていただいた知事との出会いは、私の一生の宝物でございます。それまでは島根・鳥取両県は、中海を挟んでなかなかうまくいかず、「対立の海」とまで呼ばれていましたが、知事の決断以降は関係が修復され、現在では中海圏域は一体であるという認識から、さまざまな事業が展開されて、官民挙げて「融和の海」となりました。ここにも「和らぐをもって貴し」とする知事の人生哲学が実現したものと思っております。また、宍道湖・中海の漁業者が長年にわたって要望し続けてきました森山堤防の開削を決断されたことにより、中海に唯一残された浅場である本庄工区が魚の繁殖の場、いわばゆりかごとしての役割を果たすことが期待されます。今後は、その機能が十分に発揮され、宍道湖・中海が豊潤の湖になるよう見守っていく必要があると思います。
 残された中海の問題は、両県にまたがる漁業調整が未解決であることです。1つの湖であるのに、両県それぞれが異なった許可を出すために紛争が絶えないという実態が残っております。このことで、また対立の海などと言われてはいけません。解決に向けての努力をお願いします。そこで、現在両県でどのような交渉が行われているのか、お知らせ願います。宍道湖漁協は、4年前から宍道湖に古来昔からいる宍道湖固有のアマサギを復活させる取り組みをしていますが、困難に直面しています。宍道湖では、アマサギの稚魚の捕獲を禁じているのですが、中海ではその規制があるのにもかかわらず、一部の漁業でアマサギの稚魚がほかの漁業と一緒に入ってしまう、混獲されているという実態があります。春から夏にかけて、アマサギの稚魚は宍道湖から一度中海に下って、成魚が秋から冬に宍道湖に帰ってくるという習性があります。ところが、中海では稚魚が捕獲されてしまうために親の魚が宍道湖へ帰ってこなくなっており、アマサギ漁不振の原因の一つと言われています。
 時あたかも中海圏域の商工会議所と観光協会が主催する「七珍料理決戦」というものが行われますが、観光振興のために欠かせない食材である両湖の漁業資源を保護するのが行政の仕事です。その対応策について、農林水産部長にお聞きします。なお、宍道湖七珍にコイが入ってフナが抜けています。実は、コイはコイヘルペスで壊滅状態の上、宍道湖では余り利用されていないのが実情です。宍道湖で一番好まれる冬の味覚は、汽水で育った臭みのないフナで、そのファンは多くて、その漁業も盛んです。フナを七珍に入れるのが妥当だと宍道湖漁師として考えております。七珍は、その頭文字をとって「スモウアシコシ」というふうに覚える方法がありますが、これを「スモウアシフシ」というふうになるわけです。農林水産部長の、これは御感想を、決定権があるわけじゃないでしょうから、御感想を伺いたいと思います。この問題の最後に、両県の融和に腐心された澄田知事から2つの湖の将来について、両県民はどのようにすべきか、その哲学を聞かせていただきたいと思います。
 次に、「しまねの鮎づくり」についてですが、本県の内水面漁業の主力の魚種であるアユの漁獲量は、年間500万匹以上の種苗放流を行っているのにもかかわらず、かつての年間700トンから100トンに激減している現状です。その原因として、河川環境の悪化と冷水病が挙げられておりますが、これらの問題への的確な対応が必要と考えます。そこで、「しまねの鮎づくりプラン」を島根県と内水面漁連は策定をされましたが、その具体的な取り組み内容をお知らせください。
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【知事】
 私は知事就任当初から中海問題に携わり、以来20年間、何が県民のために最善の道であるかを考えながら、地域の発展や中海の将来を思い、取り組んできました。今日に至る間には、国営中海土地改良事業の中止を初め、幾多の紆余曲折がありましたが、最終的にはこの圏域に豊かな汽水域が残り、一昨年にはラムサール条約への登録も実現するなど、地域の将来に向け、新しい道筋をつけることができました。また、この間、鳥取県と圏域の発展に向けた連携のきずなを築くことができましたことは大きな喜びであり、圏域のみならず、本県の発展にとっても極めて大きな力を得ることができたものと考えております。 豊かな自然環境や豊富な水産資源に恵まれた中海・宍道湖は、住民生活に溶け込んだ身近な財産であるとともに、国際的にも認められた両県共有の貴重な財産です。今後、中海及び宍道湖の将来に向けて地域住民一人一人が誇りと自覚を持ちつつ、一体となって両湖のすぐれた環境を守るとともに、地域振興に向けた賢明な利用を図っていくことが重要です。行政を初め、両県民が互いの理解を一層深め、「和の心」をもってともに取り組むことで、両湖が必ずやよりよい姿で未来に輝いていくものと確信しています。

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【農林水産部長(光 一)】
まず、中海の漁業調整についてであります。

 島根県と鳥取県は、中海及び境水道における漁業の取り扱いにつきまして、昨年1月31日に新たな協定を締結いたしました。この新協定におきましては、当分の間、鳥取県の漁業許可を有している漁業者が島根県水域で操業する場合、本県の許可を有しているものとみなし、本県の関係規定を適用するということにしており、逆もまた同様の扱いでございます。これを踏まえまして、両県の漁業調整規則及び漁業許可の内容を早期に統一する必要があり、両県の水産部局間におきまして、それぞれ漁業実態調査を実施をし、操業禁止期間、あるいは漁具規制などの統一化について、現在協議を行っているところであります。両県水産部局間で事務的に調整を行ってきておりますが、一部の漁業種類につきましてはなかなか意見の一致に至らず、また鳥取県においては漁業者と調整を行うのに時間がかかっているとも聞いております。今後は、鳥取県に協議を加速するように働きかけつつ、早期に漁業調整規則等の統一化が図られるように努めてまいります。
 次に、アマサギ資源を保護するための対応策についてであります。宍道湖でふ化いたしましたアマサギの稚魚は、その一部が中海へ行くことが知られております。アマサギ資源の復活のためには、宍道湖・中海一体となった資源保護が必要であります。宍道湖・中海ともに県の規則におきまして、稚魚の保護を図る目的で、4月1日から1014日までの間、アマサギの採捕を禁止するとともに、稚魚が網に入る可能性のあるマス網などの網目規制も行っております。しかしながら、中海におきましては、御指摘のとおり地元でオダエビと呼ばれる小さなアミエビを対象とした船引き網漁業で、網目を小さくせざるを得ないことから、どうしてもアマサギの稚魚が混獲されてしまうケースというのがあるのも事実でございます。まずは、県といたしましては、この漁業における混獲の実態を把握したいと考えております。一方、アマサギなどの稚魚が生育する場を造成する手法、これを開発する目的で、県の水産技術センターにおきましては、宍道湖湖岸に広がるヨシなどの植物帯や中海の本庄工区などの浅場を中心といたしまして、稚魚の分布状況やえさとなる生物の調査などを実施をしております。県としましては、引き続き稚魚を保護するための漁業規制を行うとともに、水産技術センターが行っております稚魚の生育場の調査の結果をもとに、関係機関と連携を図りながら、例えばアマモ場の造成など、稚魚の生育環境の整備に取り組んで、アマサギ資源復活のため努力してまいります。
 次に、「しまねの鮎づくりプラン」についてであります。県と島根県内水面漁業協同組合連合会は、島根本来のアユの資源、この増大を目的といたしまして、「しまねの鮎づくりプラン」を昨年度末に策定をし、今年度から取り組みを行っております。このプランに基づきまして、高津川漁協と江川漁協では、これまで他県から購入しておりましたアユにかえて、地元の河川で育ったアユを親とした放流用の種苗の生産に取り組んでおります。また、このプランの推進や進行管理を目的として県と漁業関係者で設置をいたしました検討会におきまして、今後県全域で県内産のアユを放流することについて検討しているところであります。県といたしましては、この取り組みがより効果的に実施されるように水産技術センターにおいて、種苗生産に必要な技術指導を行うとともに、病気からアユを守る対策やこれまでよく知られていなかったアユの資源管理に必要な対策の強化に努めてまいります。
 最後に、宍道湖七珍の中でコイが余り利用されておらず、七珍にフナを入れるべきではないかという点についての感想であります。
宍道湖七珍の起源については諸説あるようでございますが、ある本によれば昭和の初期に新聞記者の松井柏軒が新聞に発表したのが始まりという説があります。その当時も、それ以降もこの貝やこの魚が入らないのはおかしいなどといろんな意見が飛び交ったというふうに言われております。宍道湖の魚介類は余りにも多彩であるため、七珍に絞るまでには数々の議論があったようであります。現在の宍道湖での漁獲量を見ると、フナはコイの10倍程度、約100トンの漁獲量がございます。また、スーパーなどに買い物に行った際にも、魚売り場を見ても、フナはよく見かけますが、コイは余り見かけることがないように思います。私も宍道湖で漁獲されたばかりの抜群においしい寒ブナをいただきましたが、フナについてよく言われる泥臭さ、これとはほど遠い逸品でありました。その刺身は身が引き締まっていて、ぷりぷりとした食感を楽しんでいると口の中に非常に上品な脂の甘みというものが広がった記憶がございます。また、みそ汁は浮き出た脂と骨からのうまみ、これが五臓六腑にしみわたる大変濃厚なお酒の後にぴったりの絶品でございました。したがいまして、個人的にはフナが宍道湖の名物になる資格は十分にあるとは思いますが、一方では率直に言いまして、七珍として長く親しまれてきたコイが漁獲量が減ったということで仲間外れにされるのはちょっとかわいそうではないかということですとか、コイの悲しみはいかばかりであろうかということですとか、あるいは御指摘のとおり、七珍は覚え方として「スモウアシコシ」として定着をしておりますが、これが「スモウアシフシ」、「コ」が「フ」に変わりますので、「アシフシ」と、何かお相撲さんが足をけがをして節々が痛くなっているようなことで、余り座りがよくないといった点もあるかと思います。いずれにしても、これは先ほど感想を求められましたが、行政が決めて押しつけるものではございません。古来沿岸の住民の方々におかれては、それぞれの方が地元の食自慢に相当一家言持っていらっしゃるようでございます。宍道湖の今後の発展に向けて地域住民の皆さんが今後どうしていくのか、大いに議論をしていただきたいと思っております。

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産業振興について

【質問】 
 今から4年前の私の一般質問は、財政が厳しさを増すころでしたので、松江藩の財政再建を担った朝日丹波のやり方を紹介しつつ、知事も不昧公と朝日丹波の改革を参考に行財政改革に取り組むべきと申し上げました。知事の報酬削減を手始めに、県職員、議員の人件費削減比率は、当時全国一の改革でありました。危機意識をもって組織、事業費の見直しを着手し、一定の成果を上げたものと思います。縮小するばかりが行財政改革ではありません。スリムな組織に改変したら、その次のステップを踏み出す必要があります。それこそが産業振興であります。詳細については、今議会で地域・産業振興調査特別委員長として提言をする予定ですので、本日は4年前と同じように松江藩の産業振興を紹介しながら、島根県がとるべき姿勢について言及いたします。江戸時代中期、凶作が相次いだ松江藩は、6代藩主の時代、米に依存した財政構造では立ち行かなくなるとの危機感から、藩の主導で新産業を立ち上げ、産業構造改革を行っています。「殖産興業・国産奨励」を合い言葉に全国に通用する製品をつくって諸国へ販売したのです。全国の需要の半数を賄ったたたら製鉄、清国に売って夢にも見ざる大金をもうけた薬用ニンジン、国内の海産物を加工して長崎から輸出した俵物、大阪市場で大変高い評価を得たはぜろうそく、木綿の儀はお国第一の産物と誇った木綿生産など、生産、加工、販売まで多くの産業を創出し、保護育成に努めたことが記録にあります。当時の一般会計は、大阪や尾道で換金したお米の売り上げを基礎にして、収支均衡した財政運用をしましたが、多くの産業から上がる収入は別途積立金として特別に繰り入れ、飢餓対策や幕府から命じられる公益のための資金などの臨時支出に充てています。このような石高制によらない新産業からの収入を持てたおかげで、文化文政から幕末ごろの松江藩は富裕な藩として全国に聞こえました。松江市の南郊にある竹矢村の庄屋小川卯太郎は、この人は松江市選出の元県会議員、故小川ひろし氏の父祖に当たるようでありますが、「松江藩は他の国に比べ年貢も安く、暮らしは楽だった」と言い残しています。このように地域で食える仕組みをつくった松江藩は働き場もふえ、人口増加も著しく、7代藩主不昧公の栄光に象徴されるような地域文化もつくり出せるようになったのです。
 倒産の危機から松江藩を救い、豊かな地域につくり上げた政治手法を参考にして、知事におかれては、その産業振興に対する思いを県職員全員と県民に表明していただきたいと切望するところです。
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【知事】

 議員御指摘のとおり、松江藩が江戸、大阪で藩が倒産するとのうわさが流布される最悪の状態から回復、そして飛躍を遂げることができた要因は、財政改革を行うと同時に、藩を挙げて真摯に産業振興に取り組んだことにあると思います。主として、6代目藩主松平宗衍から7代藩主治郷至る五十余年の間、多くの特産品を開発し、藩財政改革に資する外貨を獲得するわけですが、これは藩の総力を結集して貪欲なまでに外貨獲得を目指し、他藩に対して優位性のある栽培、加工の技術開発を行い、その技術を担う人材を育成した成果であると考えています。今の言葉で言えば、マーケティングに基づき強みを生かした産業振興を行ったと言えると思います。産業振興に地域の総合力が問われるということは、今も昔も同様であります。かねて私は、「島根の発展の礎となる産業の振興のためには、やれることは何でもやる」と申していますが、そのような思いをすべての県職員と県民の皆様が共有し、地域の力を結集していけば、必ずや道は開けると確信しています。
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小学校の運動部活動について

【質問】 
 私は、松江市バスケットボール協会の会長とサッカークラブチームの責任者をしていますが、競技人口の頭打ちと成績の低迷に悩んでいます。これは島根県のスポーツ全体に言えることで、国体の成績が低迷してる、これに象徴してるわけです。小学校で行われていたスポーツ系の部活動を地域社会にゆだねる動きになってからちょうど10年が経過しました。さまざまな問題が噴出しており、このままでは県内スポーツの衰退を招くのではないかと憂慮しています。そもそも学校から地域社会へという流れは、ゆとり教育の中で部活を担当する先生の負担を軽減するのが目的ではなかったかと思います。
 部活の社会体育化の功罪について、島根県バスケットボール協会の理事長が昨年論文を体育学会に提出し、反響を呼びました。調査の結果、小学生にとってのスポーツ環境が著しく悪化したとの結論です。それによると、仕事を持つ社会人の指導に任されたので、子供たちの練習時間が夜遅くまでになり、土日は対外試合が多くなって、送迎など保護者の負担が多くなるので、よっぽどゆとりのある保護者でないと子供をスポーツに参加させにくい状況になり、競技者が
10年前の半分になるという恐ろしい結果になっています。競技スポーツとしてでなく、スポーツを楽しみとして参加したいという普通の子供が極端に減少して、スポーツ人口全体として底辺の拡大が全くできない状況に陥っているのです。このままでは島根のスポーツを底辺から支える構造が崩壊してしまうと恐れています。文部科学省の方針を余りにもしゃくし定規に受け入れた島根県ではこのような弊害が出ていますが、実は熊本県では、依然として小学校の部活動が少年スポーツ活動のほとんどを担っていると聞いています。島根県の場合、少年スポーツ活動が学校から手を離れ、ほとんどが保護者会などの運営組織に移行したために、教育委員会がその実態を把握してないというのが現状です。その実態調査がまず必要と考えますが、御所見を伺います。
 基礎学力の低下や人間関係の結びつきの弱さなど、さまざまなゆとり教育の弊害が議論され、見直しが迫られています。小学生の体力向上や人間関係のつくり方といった体育の教育的視点からして、また島根県における競技人口拡大によるスポーツ振興といった観点から、ぜひともこの機会に小学生の課外活動の弊害をなくして正常化を目指し、そのあり方を検討すべき時期になっていると思います。教育長の御所見を伺います。
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教育長(藤原義光)

私どもにスポーツ少年団につきまして、2点質問がございました。
 まず、実態調査についてでありますが、平成18年に島根県の体育協会が実施いたしました「島根県スポーツ少年団に関する実態調査」では、御指摘のありましたように、現状を言いますと長時間の練習で疲れた子供がいたり、大会参加の送迎や遠征費用など保護者の負担が大きい少年団が見受けられるなど、本県の小学生のスポーツ環境は必ずしも良好とは言いがたい状況にあると承知しております。県の教育委員会では、3年に一度運動部活動に関する調査を実施しておりますが、この中でスポーツ少年団や地域スポーツクラブと小学校との関係、地域スポーツ活動への参加者数については把握してきましたが、活動の形態、活動の日数、活動時間など、活動実態の詳細については調査項目としていないのが現状でございます。今後は地域スポーツクラブの活動実態に加えまして、御紹介ありました熊本県など、他県の対応状況などの把握にも努めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、少年スポーツ活動のあり方についてであります。スポーツは、心身の健全な発達や豊かな心と他人に対する思いやりをはぐくむだけでなく、オリンピックや国民体育大会などで本県の選手が活躍する姿は、子供たちを初め多くの県民に夢や感動を与えるものだと思っております。スポーツ少年団や地域スポーツクラブは、子供たちの心身の健全な発達、体力の向上、本県競技スポーツの振興などに幅広く貢献しており、生涯にわたってスポーツ活動を実施していく場でもあると考えております。こうしたスポーツ少年団の運営につきましては、子供たちがスポーツ少年団や地域スポーツ活動など多様な場でスポーツ活動を続けていくということについては、先ほどの調査のとこで申し上げましたような問題点を改善していくことも重要だというふうに思っております。また、スポーツ少年団の運営に際しては、教育的な視点を持ちながら、学校と地域の指導者が連携を密にし、学校行事などにも十分配慮することが求められておると考えております。今後、スポーツ少年団の育成に当たっている島根県の体育協会と共同いたしまして、「望ましい少年スポーツ活動のあり方」というふうなものをまとめていきたいというふうに考えております。以上でございます。
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県立文学館設置について

【質問】 
 平成13年の県議会において、県立文学館設置について質問したところ、文芸活動の支援策を推進していただき、一層文芸活動が活発になってきました。その活動拠点として、県立文学館の設置を御決断していただきたく、知事に再度質問いたします。
 お金のかかる大規模な箱物をつくれという要望ではありません。廃止が予定されている県立博物館の跡利用として、建物のごく一部を利活用して設置せよという趣旨です。やかたというほどのものでなく、当面は貴重な文学資料の散逸を防ぐための文学資料の収集や活用、これを目的とし、それらのための活動スペースを確保するといったものです。竹島資料室の設置が決定しましたので、それに併設する形で設置をお願いするものです。松江市文化観光プロデューサー高橋一清氏は、今までのような団体旅行は減少し、歴史や文学などの地域交流による観光が主役になるという観点から、知的交流で地域を活発化し、文学を観光の呼び水にするという議論をしておられます。行政がちょっとした手助けをするだけで、文学愛好者の皆さんが自主的に県立文学館運営センターを結成されるわけで、文化観光の向上につなげることが可能です。開催が予定されている全国高校文化祭や国民文化祭などの魅力を高める手だてになると思います。
 財政が逼迫しておる折から、少ない経費で島根を古代から現代までの総合文学館として、固有な文芸資源を全国に発信できる方策の一つと考えて、これが実現されますよう切望いたす次第です。知事の御所見をお願いします。
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【知事】

 本県は、万葉の歌人柿本人麻呂、明治の文豪森鴎外や小泉八雲、島村抱月などのゆかりの地であるとともに、出雲、石見、隠岐地方固有の風景や歴史、人情などが文学作品に数多く取り上げられております。文学愛好者の皆さんが、みずから本県ゆかりの文学資料の散逸を防ぎ、県民の共有財産として収集整理し、広く県内外の方々の利用に供したいとする御提案は意義深いものと考えております。現在、本県には、既に森鴎外記念館、小泉八雲記念館などの文学館が各地にあり、それぞれの特色を生かしながら県内外に情報発信しているところであります。
 こうしたことから、新たな文学館を設置するとした場合には、どのようなものが考えられるのか、県が保有する文学資料が少ない中で、今後文学館にふさわしい魅力ある資料の収集が可能なのか、また厳しい財政状況のもとで文芸はどうするかなど、文学関係者の皆様の御意見や御計画を十分お聞きした上で、検討してまいりたいと考えております。
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水道の広域化について

【質問】 
 県東部地域の水不足対策として立案され、尾原ダムを水源として総延長100キロメートルにも及ぶ水道管が布設され、宍道湖を渡った水道管が私の近所に上陸します。治水、利水は政治の要諦でありまして、長年渇水に悩んだ地元は、澄田知事の御英断に感謝申し上げているところです。しかし、莫大な設備投資が料金に転嫁されて、高額な水道料金になりはしないかという心配もしてるところです。当初、平成23年からの新規受水では、理論上26%の値上げになるという試算もあり、現在でさえ県庁所在地域の中で高いと言われる水道料金がさらに高くなれば、生活や産業に与える悪影響が懸念されますので、料金引き下げについて有効な手だてを打つ必要があります。
 松江市は、旧八束郡との合併で水道事業エリアの拡大により、広域的な取り組みが可能となり、5%以上の水道料金引き下げに成功したのです。県が推進している水道の広域化は一市町村にとどまらず、斐伊川水系とか江川流域という事業エリアを想定しています。それは水源の確保を主目的にした、いわば技術的な観点が強く出ており、利用者に安価に提供するというサービスの観点が弱いと考えます。莫大な設備投資をして、潤沢に水源は確保したが、その設備投資が料金に転嫁されたために高額な水道料金にあえぐ地域があるのが実情です。昔は、それぞれの市町村が水源確保や配管の布設などを負担して、それを料金で返済する方式だったのが、昭和52年の水道法の見直しによって広域的な取り組みができるようになったのは大変喜ばしいことです。
 昭和47年、松江市が大渇水になったときに、当時若い井戸内松江市議会議長が全国水に悩んだ都市12を集めて、その対策会議を結成されました。ちょうど私はそのとき、先般お亡くなりになった細田吉蔵先生の東京で秘書を務めておりました。水道法を改正しようという話でございました。当時の社労委員長が橋本龍太郎先生でありましたが、井戸内議長さんたちと陳情に行きましたら、橋本委員長が井戸内さんに対して、水道法が改正できないのは票にならないからだと、道路や橋つくれば票になるけれども、水道事業というのは目に見えないと、そう簡単にできないというふうにおっしゃいましたが、これが発端になりまして、水源は国がつくる、国から当該市町村までは県がつくる、市町村に入ってきた分は市町村が負担をするという財政的な裏づけができた昭和52年の水道法改正で、戦後初めての大きな改正で、私もそれにかかわって特別な感慨がありますが、それを積極的に進めることによって、松江市が今回取り組んでるようなスケールメリットを生かした料金の値下げがさらに大規模で可能になってきたと考えます。
 県は、東部や中部地域において水道の広域化を進めるという計画でありますが、その進捗状況はどうか、また料金を引き下げるために広域化は有効な施策と考えますが、どのような取り組みを考えているのかをお聞きします。県内の水道を全部広域化する計画ですから、全県民の生活に直接響く大きな問題です。知事の御答弁をお願いします。
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【知事】

 水資源の確保とその有効利用、合理的な経営体制の確立を図るためには、水道事業を広域的に運営するということが望ましいところです。そのような観点から、県では中部地域及び東部地域について広域的水道整備計画を策定し、これに基づき水源の広域的利用を図る取り組みを関係市町村と一体となって進めています。中部地域では江の川水道の整備が完了し、昭和60年4月から給水を開始しており、東部地域の斐伊川水道については、平成23年度中の給水開始を目指して、現在整備を進めているところです。このように水源の広域的利用を図る取り組みは着実に進んでいますが、一方で本県では小規模な簡易水道事業が多いことから、水道事業者である市町村に対し、経営の効率化に向けた取り組みをより一層求めるとともに、経営基盤強化を図るため、当面一市町村一水道事業に向けた取り組みについて働きかけていきたいと考えています。また、水道料金の設定に当たっては、各水道事業者が水道供給規程において定めることとなっておりますが、経営規模、水源等の違いから、事業間において料金格差が生じていることも承知しています。 県としては、現在給水を行っている飯梨川水道及び江の川水道事業において、一層のコスト縮減や経営の効率化を努めるとともに、市町村においても料金の低廉化に向けて、可能な限り経営の一層の効率化に向けた取り組みがなされることを期待しています。
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少子化対策について

【質問】 
 柳沢厚生労働大臣の失言の震源地が松江市の自民党関係の会だったということで、私の自宅にまで電話がかかってくる始末です。この問題が感情論や政局に利用されてしまい、大変残念に思っています。この問題を騒動で終わらせず、少子化問題の本質的な議論に発展させてほしいという島大の片岡助教授の指摘に私は同感しました。
 そこで、少子化対策を推進する立場から伺います。 私は木質エネルギーの地産地消を目指して、木質ペレットストーブ設置の運動をしており、昨年の議会で取り上げたところ、県庁1階の県民室に設置していただきました。この関連記事を見た松江市内の無認可保育所から、うちへもストーブを貸与してほしいと相談がありました。無認可なので暖房器具を買うお金もなく、消火器さえ買うお金にも不自由しているとのことでした。早速ストーブを貸与したら、お礼とともに行政の支援が全くない無認可保育所の経営の厳しさを訴える手紙をいただきました。行政の支援を得たければ、認可保育所になればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、面積、設備、人員、そのほか認可を得るためのハードルはそれほど低いものではありません。特に、夜間飲食関係の勤務のお母さんたちを対象にした施設は、飲食店の立ち並ぶ繁華街に立地しなければなりません。そんな施設に対して広い敷地や運動場などの設置を求めることは酷な話です。ゼロ歳児保育や夜間保育などは、無認可施設の御努力のおかげで制度として近年になって認められるようになり、昼間の保育は待機児童が減少して一応満たされるようになったかに見えます。しかし、最近の働く女性の様相がさま変わりして、深夜に至るまで勤務をせざるを得ない営業形態が多くなったり、母子家庭が5年前と比較して県下で25%、松江市で35%も増加してる現状に対応するのが保育行政の課題ではないかと思います。繁華街などにある小規模な無認可施設が現在その受け皿になっています。無認可なのだから行政の責任は指導にとどめるなどという冷淡な姿勢ではなく、町中の小さな無認可保育所の抱えている問題点をともに解決し、個々の子育て家庭の多様なニーズにこたえていく必要があると考えます。
 まず、無認可保育所への支援について見解を伺います。 この認可外保育施設の例でも明らかなように、少子化対策を進めていく上では、本当に困っている人たちをどうしたら行政が手助けできるかという観点が重要であり、このことを出発点にすることが心の通った行政の支援になると考えますが、今後の少子化対策のあり方について知事の考えを伺います。
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【知事】

少子化が進行する要因はどれか一つに特定できるものではなく、人々が仕事や結婚、出産や子育てなど、当面するさまざまな状況の中で選択した、あるいは選択せざるを得なかった行為の積み重ねが結果として、少子化という現象をもたらしているものと考えています。したがって、その対策には子育て支援、仕事と家庭の両立、経済的負担の軽減など広範多岐にわたる施策を総合的かつ効果的に進めていく必要があります。私はこうした取り組みを進めていく上で、まずもって大切なことは子育て、子育ちを地域全体で支援する機運の醸成とその仕組みづくりであると考え、「しまね子育て応援パスポート事業」(こっころ)や「子育てサロンの全県展開」などを重点プロジェクトに掲げて積極的に取り組んでまいりました。そして今、徐々にではありますが、着実に子育て支援の輪が県内全域に広がりつつあることを実感していますし、このような地域の機運を大切にしながら、今後の少子化対策に当たりましては、単に人口減少への対応という視点ばかりでなく、子育てに優しい地域づくりを目指すという高い視座に立った取り組みが必要であると考えています。
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健康福祉部長(法正良一)
 県では、地域の多様な保育ニーズにこたえるために市町村のさまざまな保育関連事業の展開を支援しているところでありますが、保育関連サービスの提供主体は、サービスの安定的な提供や、あるいは質の確保の観点から、児童福祉施設最低基準を満たす認可保育所が基本であるというふうに考えております。 このことから、保育の実施主体である当該市町村や当該認可外保育施設の意向も尊重しながら、認可保育所への移行について助言してきたところ、平成
13年度以降12施設が認可外から認可保育所へ移行し、現在の認可外保育施設数は50カ所となっております。 議員御指摘のように、認可外保育施設は子育て家庭の支援に一定の役割を果たしていただいております。県といたしましても、認可外保育施設における処遇向上のために指導監督だけではなく、「しまね子育て総合支援推進事業」において、入所児童の健康診断実施経費に対する助成を行うほか、また職員の研修会を実施しておりますが、今後もこれらの支援を継続してまいりたいと考えております。

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