平成21年11月 一般質問

平成21年11月の定例県議会で次の一般質問を行いました。

宍道湖・中海の現状と課題と今後の進むべき方向について 
  ☆水質について
  ☆宍道湖と中海の漁業振興について
  ☆宍道湖・中海の課題と進むべき方向について

       答弁  知事   環境生活部長  農林水産部長

宍道湖・中海の課題と進むべき方向について

【質問】
 宍道湖・中海の現状と課題、そして今後の進むべき方向について質問をいたします。今から20年ばかり前の1988年、宍道湖・中海の淡水化が凍結され、この両湖は汽水湖として残りました。2000年には本庄工区の干拓も中止され、昨年は中浦水門の撤去工事が終わり、ことし5月には森山堤防の一部が開削されました。夢幻のような時代の移り変わりです。
 淡水化論争が繰り広げられた際、淡水化によって引き起こされると懸念された5つの問題の中に、水質汚濁は進まないかという点と、水産資源が失われないかということが指摘されました。淡水化が凍結となって20年、この2つの問題について、宍道湖・中海の現状はどうか。どのような問題点があるのか。また、今後どのように進むべきか。以下、具体的に質問しますので、総論ではない、できるだけ具体的な回答を求めたいと思います。御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、水質について関係部長に伺います。
 この20年間、宍道湖・中海の流域では、営々として下水道の整備などの水質保全施策が行われてきました。しかし、宍道湖・中海とも水質は横ばいのままです。今まで実施されてきた湖沼水質保全施策は実際に効果があったのか。特に水質汚濁を引き起こす原因でありますが、窒素や燐の栄養塩負荷が削減されたのかという疑問です。
 質問の第1は、最もこれが重要な事柄でありますが、県は流域から宍道湖に注ぐ汚濁負荷、CODが低下していると、こう報告されていますが、同様に窒素や燐の栄養塩負荷も減っているのかどうか。
 第2は、仮に流域から流れ込む窒素や燐が減少してるとするならば、中海では湖の下層に蓄積する窒素や燐が低下するはずですが、どうなっているのか。
 第3は、将来的に宍道湖・中海の水質は改善する方向にあるのかどうか、伺います。
 次に、私の漁師としての感覚では、宍道湖の冬場の水質はよくなっておりませんが、むしろ夏場の水質がよくなっているのではないかと、こう湖水の健康状態を判断しています。水質がよくなると透明度が高くなって湖底まで光が行き届いて、湖底に沈水植物、水草が生えると、こう言われております。実際、最近の宍道湖では夏場に水草がふえており、一部が岸に打ち寄せられてたまって腐ったりしています。
 私は、毎年11月下旬ごろに宍道湖でマス網と呼ばれます、長さが130メートルほどありますが、定置網をつけます。毎朝、その網を上げる仕事をするわけですが、けさも行事としてそれを仕事してまいりましたが、昨年はその網に枯れた水草が流されて大量に付着する、それを避けるために、その水草が少なくなるまで1カ月以上、その網の設置時期をおくらすという、水草による初めての被害というものを経験をいたしました。これはシジミ漁業の操業の邪魔にもなっているようです。最近、宍道湖とほぼ同程度の汚れぐあい、琵琶湖の南湖、ここでも水がだんだんきれいになっていって水草が生えて、その水草が岸に打ち寄せられて困ってるというふうにも聞いております。
 そこで、先ほどの水質改善の質問と関係するわけですが、今後湖に流入してきます栄養塩が減ってくるとすれば、宍道湖と中海の水草や海草はどうなるのか。そのために、どのようなよい面や悪い面が出てくるのか。そして、それに対してどのように対策を講じるか。この点についてお聞きをいたします。
 中海の水質についてお聞きします。
 中海は、かつて豊穣の海とされていました。しかし、干拓工事による地形改変と富栄養化による水質汚濁によって、今は見る影もありません。昔の豊かな海に少しでも戻すことは、周辺住民や中海漁業者の願いです。森山堤防が開削されてから、半年経過しました。開削すれば、本庄水域と境水道が一体的な水域となり、魚介類の格好の漁場になるとの大きな期待が寄せられたと聞いております。
 質問の一つは、開削によって本庄水域の水質はどのように変化したのか。サルボウ、アカガイと言っておりますが、アカガイ復活など漁業振興に密接に関係する水中の酸素濃度、特に下層水に含まれる酸素濃度の変化はどうであったか、お聞きします。
 2つ目に、森山堤防の開削について農水省が予測シミュレーションを行ったようですが、実際と予測されたその当たり外れはどうだったのか、お聞かせください。
 次に、宍道湖と中海の漁業振興について、農林水産部長に伺います。
 初めに中海です。森山堤防の開削の前には、開削すれば中海の本庄水域では魚がわくように、わくほどとれるというふうに漁師が言っておったようですし、テレビでは、開削後にカンパチがとれたと、こう放送していました。境水道と直接つながったわけですから、海の魚がこれまでと比べて多くとれるというのは当然のことと思います。しかし、森山堤防を開削した後、本当にわくほど魚がとれるようになったのか。特に商品価値の高いオダエビ、モロゲエビ、アオテガニ、カレイ、ヒラメ、そしてここが産卵場と言われておりますマハゼ、ゴズと言っておりますが、この漁獲状況はどのように変化したのか、お聞きします。
 本庄水域については、堤防開削によるアカガイ復活の期待が相当高かったようです。島根大学の先生方も、アカガイ復活を前提とする実験を行っておられたと聞いております。中海では昔から湖の深場に多く生息していましたが、今の中海は深場は酸欠になりやすく、アカガイにとって生息しにくい環境となっています。したがって堤防開削後に、酸素を含んだ日本海から入る海水が通過する開削部分の周辺はともかく、本庄水域全体の深場がどのような環境になったか、ここが重要です。アカガイが復活できる環境条件になったのか。以前のようにアカガイが復活すると考えられるのか。もし本庄水域でもアカガイの復活が期待外れであれば、今後どのような場所でどのような方法をとれば、アカガイ復活の見込みがあると考えられるのか、見解をお尋ねいたします。
 ことしは、本庄水域もそうですが、中海全体がきれいになったように感じます。本庄水域にアサリの稚貝がわいていると聞きます。本庄水域のアサリの状況と、中海全体でのアサリのとれぐあいはどうなのか、お尋ねします。開削によってアサリがとれるようになったというのは本当でしょうか。
 中海では、現在水産技術センターによるアカガイの調査、漁協によるモロゲエビなどの放流、国交省による浅場造成や底質改善など、さまざまな魚介類の増加につながる施策が行われております。しかし、このような施策を広範囲に実施し、仮に水産資源、その復活の可能性が見えたとしても、漁業者が将来にわたって漁業による生活が維持できないと思えば、その場限りの乱獲、収奪的漁業が横行するだけではないかと考えます。魚介類の資源保護と管理の意識を育て、漁業者が将来の生活設計を立てて、後継者を育成できる状況をつくる必要があります。資源復活の施策と並行して、これらの視点から漁業者の育成を行わなければ、資源復活の試みだけに終わり、地域産業として育たないと考えますが、これらの漁業振興の課題について検討支援を行う考えはないか、伺います。
 宍道湖の漁業問題に移ります。
 宍道湖のシジミ漁業は、NHKの「だんだん」で、さらに全国に名が売れてきました。しかし、シジミ漁業はさまざまな問題を抱えています。特に 2006年の大量へい死以来、漁獲サイズのシジミ資源が回復せず、昨年はシジミ漁師から、状況は厳しいのを通り越えて苦しいという声が上がっていました。資源量が減ってくると、やむを得ず小型のシジミまでとられ、それが出荷される事態も考えられます。そうなると資源量の回復がおくれるだけでなく、宍道湖シジミが他産地のシジミと比べ品質が劣っていると言われかねません。資源量の調査は定期的に行われており、実態把握はなされているようですが、それに加えて漁獲サイズのシジミ資源を回復させる取り組みも必要と考えます。漁獲サイズの資源が回復しないその理由はわかっているのか、お聞きします。
 それ以前の問題として、宍道湖シジミの産卵実験、シジミのえさや成長の早さ、これまで何度も起きているシジミのへい死の理由など、資源回復の取り組みに必要な宍道湖シジミの特性がわかっているのか、お尋ねします。
 また、漁獲サイズや漁獲量の規制はそれに基づいて科学的に行われているのか、さらにこれまでそのような努力が図られてるのか、お聞きします。そうしたことが明らかにされなければ、資源回復のためのまともな取り組みはできないのではないかと考えるからです。
 次に、県は2006年に宍道湖・中海水産資源維持再生構想を策定されましたが、この構想の進捗状況をお聞きするとともに、新たに見直しをする必要はないのか、お尋ねします。
 宍道湖・中海の課題と、その進むべき方向について、知事にお尋ねします。
 宍道湖・中海は、地域住民のかけがえのない共有財産と言われ、地域にとって観光、景観など、はかり知れない恩恵を受けています。その中で、宍道湖の地域資源として重要な宍道湖シジミについて、市場や販売の優位性を確立するためのブランド化は、まだ確立されてないと思っております。ことし、東京築地市場での宍道湖シジミの評価は最悪だったと聞きました。ブランド化のためには、シジミ漁師一人一人が食品を取り扱うという自覚の必要性、宍道湖シジミの流通体制のあり方、市場に出回る外国産の輸入シジミの対策、ジェオスミンによるカビ臭がありますが、この問題、こうした課題を解決すべきですが、まず先ほどから申し上げた資源量の維持増殖が前提であります。
 また、将来的には水中に生える水草の繁茂というのが魚類の増殖に寄与するかもしれませんし、反面、沿岸の景観あるいはシジミの漁場に影響することも考えられます。島根の特色ある地域資源を最大限に生かし、経済を活発化するということは重要であり、島根の看板の一つでもある宍道湖のヤマトシジミ、その資源量の維持増殖とブランド化などについて、従来にも増して積極的に支援するお考えはないか、所見をお聞かせください。
 中海についてお尋ねします。
 中海は、大橋川の改修に係る治水防災、この問題が現在優先してる状況です。中海は、森山堤防の開削や弓浜半島の内側に点在します、しゅんせつくぼ地の埋め戻しが漁業振興や水質改善を促進すると考えられています。しかしながら、森山堤防の開削は、大学の先生や漁業者の方々が当初に予想されたような結果にはなっていないように思います。中海に点在するくぼ地を埋め立てたとしても、強固な塩水と海水の成層構造を持つ富栄養化した中海において、下層の酸欠は当面解消することは考えられません。したがって、早急な中海の水質改善と漁業振興は、かなり難しい課題だと思います。私に解決できる妙案は思いつきませんが、地道な水質改善を進めることと、そしてもっと異なった観点からの対応が必要と考えます。
 今から50年前の中海は、アマモなどの大量の海草が生育しており、この海草は刈りとられて、弓浜半島を中心とする周辺農地に肥料として利用されていました。このため、窒素や燐などの栄養塩が湖外に持ち出され、透明度の高い湖になっていったと「里湖モク採り物語」に書かれています。生物研究社から出版されたこの本の著者は、松江市に住む在野の学術博士、平塚純一氏ほかであります。この本には、また農地での海草の利用方法、海草と漁場との関係、海草と水質保全の関係など、今後の中海の再生に大変参考となる事柄が多々書かれております。 県の宍道湖東部浄化センターによる窒素や燐の負荷削減努力や、中浦水門や西部承水路の撤去による海水交換量の増加によって、どうも中海の栄養塩濃度が低下し、最近少しずつ藻場が再生しているようです。中海北部の漁業者が、最近オゴがたくさん生えてると言います。オゴノリですが、昔は寒天の材料として金になったと述懐しています。先ほど申し述べた平塚氏の啓蒙書を参考として、中海の海草・海藻をキーワードして、難題である中海の水質改善と漁業振興について、学術研究に基づく中海再生の長期的な総合戦略を策定するお考えはないか、知事に伺います。
 最後に、進むべき方向について知事にお尋ねいたします。
 宍道湖・中海の環境改善、漁業振興に対して、就任以来、知事が力を入れていただいてることに感謝をしております。これまで述べてきました宍道湖シジミの資源量維持とブランド化、中海の水質改善と漁業振興に係る問題は、例えばシジミの資源量について言えば、単にシジミだけでなく、えさとなる植物プランクトン、酸欠や水質状況、湖水の硫化水素濃度、下層の貧酸素水塊の動きなど、多くの専門的な知識が必要となります。宍道湖・中海に関係する所管は、県では自然環境課のラムサール担当、環境政策課の水質保全担当、保健環境科学研究所、水産課、水産技術センター、それに国交省と環境省、島根大学などがかかわり、それぞれが独自の調査研究を続けておられます。
 宍道湖には、アユとタツノオトシゴとシラウオが同居しています。この豊かな生態系を持つ宍道湖・中海という汽水域を生かした地域振興のためには、現在の県の縦割り組織の枠内では対応はできないと考えます。茨城県の霞ヶ浦には、近年、霞ヶ浦環境科学センターが設置され、滋賀県は琵琶湖再生課という課を立ち上げて取り組んでいます。県として、宍道湖課といったような責任ある組織を立ち上げることが大切と考えますが、見解をお尋ねします。
 かつて淡水化の可否を決定する際に、県は一流の学者を招聘して助言者会議を設置し、可否の助言をいただいた経験があります。関係分野の専門家を招き、県の担当部局とともに宍道湖・中海の長期的な総合戦略を策定し、これに対処する必要性があります。ここで重要なことは、本当に役に立つ適切な専門家を選ぶことです。産官学民から人を得てこの難題に当たり、宍道湖・中海を世界一の汽水湖として再生する新たな姿勢を打ち出していただきたいと訴えて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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【知事】

 議員からは私に対しましては、宍道湖のヤマトシジミの資源量の維持増殖とブランド化などについて県の支援はどうかという御質問でございます。
 日本有数の汽水湖であります宍道湖におきまして、日本一の漁獲量を誇るヤマトシジミは島根県を代表する水産物であり、貴重な地域資源であるというふうに認識をしております。しかしながら、御指摘のように宍道湖のシジミは、平成18年の大量死以降、厳しい資源の状況にあることは御説明のとおりでございます。一部の流通業者の方からは、大きなサイズが減少し市場価値が低下しているということも聞いております。このような状況が進めば、宍道湖のシジミの商品価値がさらに低下することが懸念をされるわけでございます。
 宍道湖の、まず資源の状況はどうかということにつきましては、御承知のように平成9年から年2回、県の水産技術センターが調査をいたしまして、それを漁業者の方々にお伝えをし、資源の維持増殖のため何をすべきか、例えば漁獲規制をすべきであるとか、あるいは最近では湖底の耕うんをしてはどうかというような提案もしてまいりまして、今年の9月から湖底の耕うんということを試験的に国の事業、さらに県も予算支出をいたしまして、共同で調査、耕うんを行ったりして、その結果、シジミ資源にどういう影響が出るのかというようなこともやってるとこでございます。私どもとしては、そうした耕うんといったような新たな事業を行いまして、シジミの資源がふえるように努力をしたいと思います。これは当面の一つの手法、課題でございますが、全般的にシジミ資源がふえるための方策ということにつきましては、引き続き県の主要な重点課題として取り組んでまいりたいと考えておるとこでございます。
 次に、ブランド化の問題につきましては、首都圏の高級スーパー等におきまして、宍道湖のシジミを出荷してる漁業者や加工者の販路拡大などを支援するというのが一つの方法でございます。にほんばし島根館では平成16年から取り扱いを開始をいたしまして、週3回の定番商品としてシジミの販売をするということをやっておりますが、首都圏でも愛好者が多いということを聞いておるわけでございます。また、首都圏のスーパー、例えば紀ノ国屋などにおきましても、島根フェアにおきましてシジミのおみそ汁の試食でありますとか販売のPRなども行っておりますが、さらに有効な施策についてよく関係者の方々とも御相談をし、支援を強化してまいりたいと考えているところであります。
 その中で、宍道湖の商品価値を一層高め、資源状況の把握や管理をより科学的に検討するということもいたしますが、消費者に高く評価されるような戦略的な流通販売のあり方も検討しなければならないということで、これまでは行政と生産者と相談する場がございましたが、それに流通の関係者などにもお入りをいただいて、新たな広い場でブランド化、販売の販路の拡大、そういうことも検討していきたいと考えておるところでございます。
 次に、中海の海藻等をキーワードとし、難題であります水質改善の漁業振興について、学術研究に基づく中海再生の中長期的な総合戦略を策定する考えはないかということでございますが、議員が御指摘のように、中海の水質は下水道など生活排水処理が進んできておりますけれども、大きな改善は見られないといった実態があるわけであります。
 宍道湖・中海の水質が改善しない大きな理由としては、プランクトンの発生など複雑な汚濁メカニズムが関係しておると一般的に言われてるわけでございますが、詳細なメカニズムはまだ解明をされてないわけでございます。環境省は、国内のこの淡水域における汚濁メカニズムの解明調査をやってきておるわけでございます。現在、琵琶湖、それから霞ヶ浦などにおいて、県とも一緒になって調査をしております。私どものほうも環境省に対しまして、宍道湖・中海圏域におきましても環境省と一緒に解明調査をやりたいと、お願いしたいということを申しておるわけでございまして、環境省のほうも人員の制約がございますから、琵琶湖等の調査の後、中海・宍道湖において解明調査を行うということになっておるわけでございます。私どもとしては、そうした調査結果に基づきまして水質保全対策を検討していきたいと考えてるところであります。
 また、中海の漁業振興につきましては、平成17年度に策定をしております宍道湖・中海水産資源維持再生構想におきまして、平成18年度から平成 22年度までの5カ年間に、資源の回復を図るために有用魚介類の積極的増殖策を講ずるということにしておりますが、来年度でこの構想の期限が切れるわけでございますから、来年度にはこれを見直す作業を行う予定でございます。この水質保全対策の検討と水産資源維持再生構想の改定の中で、来年度そういう作業を行いながら、御指摘がありました海藻等を利用した対策につきましても検討してまいりたいと考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、当然のことではありますが、水質の改善と漁業の振興というものは相互に密接に連関をしてるわけでございまして、対策の検討あるいは構想の改定に当たりましては、この両者の間の連携をよくとっていきたいというふうに思っておるところでございます。
 それとの関連で、この中海・宍道湖の問題は、県庁の中でも環境保全でありますとか、あるいは農林水産部の漁獲資源の増殖でありますとか、いろんなところが関係をするわけでございます。それから、国におきましても環境省、国交省等々が関連いたしますし、島根大学におきましてもいろんな調査研究なども行われておるわけでございます。そういう意味におきまして、この問題は多岐にわたっておるわけでございますから、それを統括する部署が何らかの形であったほうがいいという御提案でございますが、それは私どももよく理解できるところでございます。大変重要な興味深い提案でございまして、ほかの件でも御指摘ありましたが、そういう中心的な部署を設けてるっていうことでございますから、そういう状況などもよく勘案しながら、あるいはこれからの対策の検討の状況も見ながら、御提案についてもよく検討してまいりたいと考えておるところであります。以上であります。
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【環境生活部長(山根成二)】
 私からは、水質に関する大別3点の御質問についてお答えをいたします。

 まず、栄養塩負荷の状況についてでございます。
 宍道湖に注ぎます窒素や燐の平成20年度における負荷量につきましては、下水道の整備等によりまして、昭和63年度と比べまして窒素につきましては約2割強、燐につきましては約4割の負荷が減ってるというふうな状況でございます。
 中海の下層部分における窒素、燐の濃度につきましては、流入負荷量が減っているにもかかわらず横ばい、もしくはやや改善傾向、そういったことにとどまってるという状況でございます。
 将来的な宍道湖・中海の水質についての御質問がございました。水質汚濁メカニズムが複雑で、現在解明されてない部分もございますので、非常に不確定な要素が多うございます。しかしながら、下水道などの整備や農地への施肥量の削減など、いわゆる非特定汚染源対策など各種の施策の推進によりまして、徐々にではございますけれども改善が進んどるんじゃないかと、かように考えております。
 次に、栄養塩の減少の効果についてお答えいたします。
 湖に流入する栄養塩が一定程度減ってまいりますと、湖中のプランクトンが減少いたしまして水草類がふえてくるという研究報告があると承知しております。しかしながら、今後、宍道湖・中海の水草や海藻が実際どうなっていくのかにつきましては、希少あるいは栄養塩以外の水質等が複雑にこれも絡み合っておりますので、現時点でこうだと予測することは困難でございます。
 また、一般的に水草等のよい面としましては、稚魚や稚貝の産卵、生育場所となったり、水草自体が窒素や燐などを吸収するということが言われております。一方、悪い面といたしましては、御指摘のありましたように漁獲や船の航行等の支障になったり、水草自体が枯れて腐食して悪臭を放ったりといったことが言われております。こうした悪い面の対策につきましては、議員から御紹介のありました水草の刈り取りが考えられるわけでございますが、この刈り取りにつきましては栄養塩の持ち出しと、そういった効果も副次的に期待もできるわけでございます。したがいまして、水質保全対策にとりましても有効なものと考えております。しかしながら、この作業につきましては相当の費用が必要であるということが上げられます。議員がこれも御指摘のありました持ち出した後の有効利用、それができるかどうかが大きなポイントになるのではないかと、かように考えております。
 次に、森山堤防開削後の水質についてお答えをいたします。
 5月末の開削の後、本年夏場に下層部分の塩分濃度がやや上昇いたしました。結果的に上層部分と差が生じております。また、下層部分の酸素濃度につきましては、濃度が低い期間が例年に比べましてやや長く続くというふうな状況が見られました。しかしながら、堤防開削後間もないことから、今後どのように状況が推移していくのか、引き続き経過を観察してまいりたいと、かように考えておるところです。以上でございます。
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【農林水産部長(石垣英司)】
 まず、森山堤防の開削と水質予測のシミュレーションについてお答えいたします。

 農林水産省が行った森山堤防を50メートル開削する場合の水質予測のシミュレーションにおいては、塩分濃度を除いて、ほかの項目ではほとんど変化が見られないとされておりました。今年度夏以降の本庄水域の水質の状況につきましては、先ほど環境生活部長が答弁しておりますけれども、森山堤防の開削からは半年しか経過しておらないこと、また農水省のシミュレーションの設定条件である西部承水路堤防の撤去なども、まだ完全には行われていない状況にあることなどから、本庄水域の水質の状況をシミュレーションと比較して評価をできる段階では、今のところはないのではないかと考えております。いずれにいたしましても、本庄水域の水質の推移については今後とも注意して見守ってまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、森山堤防開削後の本庄水域におけます漁獲状況の変化についてでございます。
 島根県の水産技術センターにおきましては、本庄水域内におきまして、先ほどの議員からのお話にもありましたマス網で漁獲される魚介類の種類や量を定期的に調査しておるところでございます。その結果によりますと、ことしの6月から11月にかけて漁獲された主な魚種は、サッパ、マアジ、カタクチイワシ、ヒイラギ、スズキなどでありまして、これが一網で平均して13キロとれております。これを昨年の同時期と比較いたしますと、魚種の構成は先ほど申し上げましたものとほぼ同様でありまして、量のほうは平均15キロということでありまして、開削後の漁獲量には大きな変化は認められていないのではないかと考えております。
 また、オダエビ、モロゲエビといった商品価値の高い魚介類やマハゼの漁獲の状況でありますけれども、マス網における漁獲状況や漁業者に対して行った聞き取りによりますと、昨年よりは減少の傾向は見られるということでありましたけれども、これが堤防の開削による変化なのかどうかについては、いま少し長期的に状況を把握していく必要があると考えておるところでございます。
 次に、中海周辺でアカガイと呼ばれている、いわゆるサルボウの復活についてでございます。
 いわゆるアカガイが分布しております環境条件は、西日本の内湾から外海に至る比較的塩分濃度が高い浅場であって、その底質、底の質は砂泥、砂と泥のまざった状態から泥地、そして貧酸素水に長く覆われないところというふうにされております。本庄水域の環境条件は、従来からこのようなアカガイが生息可能な場所があるものと考えられておりました。
 県の水産技術センターと島根大学とが昨年10月に実施いたしました分布調査の結果を見ますと、本庄水域内におきましても大海崎や本庄の沖合いにおいて、殻の長さが4ミリから11ミリのその年に生まれた稚貝は確認されましたものの、1歳以上の大型貝は採取されませんでした。ことしの11月に行われた調査におきましても、稚貝のみがわずかに確認されたところでありまして、堤防開削の前後でアカガイの生息量には大きな変化は見られないという状況にあります。先ほど私申しましたように、本庄水域におきましてもアカガイの生息可能な場所はあると考えられることから、今後も調査を継続しまして、その生息状況の把握に努めてまいる考えであります。
 また、アカガイの資源復活のために、現在島根県と島大が連携をいたしまして、中海の数カ所におきまして天然の稚貝をとるための採苗試験を実施しておりまして、10万個オーダーでの稚貝を得る技術が開発されたところでございます。今後はさらに多くの種苗確保ができますように、引き続いて天然採苗の技術開発を進めますとともに、アカガイの生息適地において稚貝の放流試験を行いまして、アカガイの資源回復、復活に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中海におけるアサリの状況につきましてお答えいたします。
 水産技術センターが毎年9月に本庄水域内で実施しております定点調査結果によりますと、今年度のアサリの稚貝の分布の密度は、平成18年以降最も多いということが判明いたしました。また、本庄水域以外におきましても、今年度はアサリの稚貝が多く発生しているということを確認しております。現在のアサリの主な漁場は旧中浦水門付近から境水道にかけてでありますけれども、漁業者に対する聞き取りによりますと、森山堤防開削前後でのアサリのとれぐあいについては大きな変化はないというふうに聞いております。今年度発生したアサリの稚貝は、いまだ漁獲できるようなサイズには成長しておらず、現時点におきましては漁獲の増加には結びついていないという状況でございます。一般的にアサリも含めます二枚貝は、海況の、海の状況の変化によりまして、時としては大量発生するということが知られておるところでありまして、今般の開削の影響によって中海全域でアサリの稚貝が大量発生したのかどうかは、いま少し長期的に調査を行うことが必要と考えられるところでございます。いずれにいたしましても、県としましてはアサリの稚貝の生育状況について追跡調査を実施していく考えでございます。
 次に、中海の漁業振興の課題についてでございます。
 中海におけます漁業振興は、アサリなどの有用資源を回復するために現在行われている生息調査あるいは天然採苗、放流といった取り組みを、引き続き実施していくことが重要と考えております。こうした取り組みとあわせまして、将来に向けて水産資源を持続的に利用した漁業経営が可能となるよう、今のうちから、資源管理の意識と経営に関する感覚をあわせ持った漁業者の育成に努める必要があると考えております。今後は、島根、鳥取両県の行政と研究機関と、そして漁業者の皆さんで構成されております中海及び境水道における漁業に関する鳥取・島根両県協議会、こういった場などを活用しながら、中海における漁業経営のあり方についての検討を進め、漁業者への周知あるいは普及を通じて、その御理解を深めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、宍道湖のシジミの資源回復の取り組み等についてお答えをいたします。
 宍道湖シジミにつきましては、夏場の豪雨の影響によりまして大量のへい死が起こりました平成18年以降、平成19年は4,800トン、平成20年は4,000トンを下回ると、こういう漁獲量の状況でありまして、シジミの資源回復がおくれているという状況でございます。水産技術センターが行っておりますその資源量調査結果を見ますと、殻長、殻の長さが17ミリ以上の漁獲対象資源の量は、平成18年の秋には1万トン、19年の春には5,800トンにまで減少してまいりました。ただ、その後は徐々に増加の傾向が見られておりまして、ことしの10月には1万5,000トンまでこれが回復してきております。しかしながら、そうは申しましても16年から17年の漁獲対象資源量が2万トンであったわけでありまして、約2万トンということでございまして、このような水準にまではまだ回復していないという状況でございます。
 シジミの産卵、あるいはえさであるプランクトンあるいはそのシジミの成長の早さ、こういったようなシジミの生態につきましての個々の特性というものは、ある程度は解明されているという状況であります。しかしながら、シジミの漁獲サイズの資源が回復しないのはなぜか、その理由につきましては、えさ不足によってシジミ自体の活力が低下する、あるいは成長がおくれる、さらには冬場のへい死といった影響によるものと考えられるわけではございますけれども、そもそもそうした状況に至った原因につきましては残念ながら特定ができておりません。今後は、そうした原因と考えられます水質あるいは宍道湖の底質、気象、えさなどなどの生態系の各種の要因につきまして、総合的にとらえた研究を水産技術センター、島根大学あるいは保環研といったような関係機関とも連携をしながら取り組んでまいる考えでございます。
 漁獲サイズや漁獲量の規制につきましては、先ほどの知事の答弁にもありましたけれども、水産技術センターが資源量調査を行い、その結果を宍道湖漁協に対して提供しております。こうした客観的なデータをもとといたしまして、1日当たりの漁獲量の制限が決められているわけでございますけれども、今後はより一層精度の高い科学的なデータを提供いたしまして、適正な資源管理が図られるよう努力していく考えでございます。
 最後になりましたけれども、宍道湖・中海水産資源維持再生構想の進捗状況と今後の見直しについてお答えいたします。 
 17年度に策定されたこの構想におきましては、宍道湖における水産資源維持、中海の水産資源の再生、これらを目標といたしまして、国交省、島根大学、関係漁協などと連携をしまして、幾つかの取り組みを進めております。これまでの主な成果といたしまして、宍道湖におきまして湖底耕うんによる漁場改良技術の開発を行っております。その結果をもととして、現在漁業者の皆さんが自主的に湖底耕うんに取り組んだり、あるいは天然採苗によります稚貝の放流といったものに取り組んでおられます。
 また、中海におきましては天然のアカガイの稚貝の採苗技術の開発に取り組んでおりまして、先ほども申しましたが、10万個単位での大量の稚貝の採取に見通しが立ったところでございまして、資源再生に向けて大きな前進になったと考えております。
 他方では、先ほども申し上げております18年度のシジミの大量へい死といった影響等もございまして、構想で目標とされておりました宍道湖の漁獲量の維持あるいは中海の漁獲量の増加については、達成することができないといった状況にございます。このため、今後も引き続いて水産資源の維持再生に向けまして、これまで以上に関係機関と連携をした総合的な取り組みが求められているといった状況にございます。知事のこれも答弁にもありましたけれども、この構想は平成22年が最終年度でありますので、こうした今申し述べたような課題を踏まえながら、来年度には23年度以降の新たな構想を策定することとしておるところでございます。以上でございます。

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