【動物病院で歯科?】
動物病院で歯科?と思われる飼い主さんも多いはず。
動物病院は歯科ももちろん診療科目のうちの一つです。
最近、増えているのは歯周病をもつペットたち(ワンちゃん、ネコちゃん、ヨツユビハリネズミなど)。
どうしても口の中を見せてくれないペットの場合は難しいですがなるべく指摘と指導をさせていただいています。
歯石や歯周病、口臭はうちの子に限って悪くても指摘されたくないと思ってませんか?
またこれが普通のうちの子の臭いですべての子がそんなものだと。。。。
歯周病が酷くなり、口から鼻にまで穴があいている症例を当院では日常的に診ます。
主訴はくしゃみをすると。。。
または眼の下が腫れて穴が開いたと。。。
レントゲンを撮るとこんな感じに。(当院で撮影)
|
|
|
白い歯の根元(歯根周囲)が黒くうっすら抜けてるのが分かりますか? |
人間もまったく同じ病気があることをご存知ですか?
歯根膿瘍・歯根膿瘻という病気をご存知でしょうか?
こうなると歯を抜かなくてはいけないケースになることが多々あります。
すべての診療獣医師が思うのですが、見た目と違って飼い主様の知らぬ間に歯で苦しんでるペットたちが多いです。
指導をしても、あまり本気にとっていない飼い主様も多いように思います。
歯が抜けるのがかわいそう、、歯石を取ると歯が抜けると聞いたからかわいそうなのでしない・・・
などの理由が多い気がします。
実はペットは、人間とは歯や顎の構造がちがい噛む力は強くても歯の根元や周囲の骨はかなり薄いのです。
簡単な歯の治療ではなく場合によっては歯の根元や顎の骨を削る手術になることもあるのですが
こうなってくるとリスクを伴う生死につながる手術になることさえあります。
歯周病があると、人間同様、口臭がひどくなったり歯が抜けたり、
あわよくば口腔内のエプーリス(歯肉腫)や悪性腫瘍、鼻腔内腫瘍になることも。
また、検査では白血球が高くなったり敗血症になったり、貧血を起こしたり、リンパが張れてたり
他の病気で来られた時に原因が隠れてわからなくなることもあります。
どちらがかわいそうなのでしょうか?
いつの時点で歯のケアを本気で考えるか、
判断は飼い主様がすることになります。
当院では、歯肉炎や歯石の指摘に加え、歯を抜かないでいられる状態を保つポイントを診療中にお伝えすることにしています。
歯の検診(歯科検診)について
成犬は年に1〜2回
子犬は以下の時期に推奨です。
歯科検診1回目(ペットを家に迎えたらすぐ)
ペットを家に迎えたら 歯の検査により、フード種類やあげてはいけないおやつ類などを指導。
ペットを家に迎えたらとりあえず健康診断的に歯の検査もしてもらうために動物病院に行って下さい。
またしつけなどは、1日でも早くこの時期からはじめる事が重要です。
歯磨きの練習などもはじめてはいかがでしょうか。
歯科検診2回目(生後2〜3ヶ月齢時)
乳歯が正常位置に生えてきているか、乳歯折れや色、顎の形を検査します。
乳歯が折れてしまっていたり、折れていることに気づかない場合は
顎から出てくるはずの未熟成長永久歯に折れた乳歯を伝って菌が入り、
永久歯を駄目にする事が稀にあります。
人間の子供さん同様、乳歯の異常放置は大変なことになることがあります。
動物病院に行って下さい。
歯科検診3回目(生後5ヶ月齢時)
乳歯から永久歯へ生え変わりがきちんと出来ているかどうかと歯の色や数や形を
検査します。
乳歯が残っているのに、横に永久歯が出始めたらすぐ来院して下さい。
この時点でおかしい場合が多々です。
通常は永久歯の下から押して乳歯が抜けます。
数が合わない時は、永久歯が顎の骨の中で何らかの理由で外に出られない埋伏歯の可能性がありますので
埋没歯を放置してしまうと骨の中で腫瘍化したり炎症をおこす事も稀にあるため、
この時期にレントゲンで確認し外科的な治療すると、
歯の成長時期なので埋没歯は出す事も可能です。
【歯に対しての注意】
生後1歳齢ぐらいまで歯は成長し続け歯根が閉じていません。 (まだまだ不安定な時期)
この1歳齢のわんぱくな時期にペットショップやおやつ売り場などでは1歳〜というおやつを勧められたり
パッケージを見て買って使用してしまう飼い主様が多いように思います。
骨や木などの硬いおもちゃやアキレス腱やひずめ等を与えて噛ませても
人間でいう歯固めのように歯が強くもならない上、歯への負担や不安定さを助長し歯折れや歯の移動の原因になるので
ドッグフード以外の硬すぎる物は、歯の不安定な未熟なこの時期に噛ませないように十分に注意してください。
臼歯の折れがこの時期に多い気がします。
犬猫の臼歯はハサミであると例えられることが多いです。
ハサミで硬いものを切ったら刃が欠けませんか?
それと同じなのです。
歯冠が割れ、歯根の外部骨吸収と側部の垂直骨吸収ありで抜歯適応と判断。
レジンで修復は不可能な状態です。
成体でも歯が一見、きれいにみえてもレントゲンを撮ると実際は歯根がひどいことにというパターンも多いです。
気になる飼い主様はお近くの動物病院で歯根の歯科検診を希望しましょう。
【乳歯・歯などの飼い主様的間違い】
ドッグフードより硬い骨や木をかませれば歯は丈夫になる
歯を痒がるから硬いものをあげなければいけない
硬いモノを噛ませれば乳歯は抜ける
そのうち乳歯は抜けるもの
乳歯は残っていても問題はない
乳歯は折れてもいずれ抜けるから大丈夫
永久歯が萌出しないのは放置で問題ない
歯が悪くなったら歯のためにドッグフードより柔らかいものをあげなければならない
動物に歯磨きは必要がない
これらは申し訳ないですが間違っています。
よく聞かれる子犬の乳歯が抜けないという質問についてですが
永久犬歯の頭が見え始めて10日目には抜けなければ外科的に抜くというのが良いようです。
・歯冠が本来の歯冠長の半分に到達した時点での乳歯の動揺がない
・永久犬歯が萌出し始めて2週間経過しても、乳歯の動揺がない
以上が現在言われている乳歯抜歯適応基準
ペットの歯はケアをする時代です。歯のブラッシングはとっても大事です。
歯磨きガムは、おやつの意味であって人間が噛む歯磨きガムと同様の効果と思っていたほうが無難です。
ガムを過信しないでください。
歯ブラシなど歯磨きケアグッズは常時、数種類、病院受付に置いてあります。
また、歯に関してのご質問・その他などありましたら
お気軽にお問い合わせ下さい。
TEL:0827−84−4077
なお、歯が悪くなりどうしても歯を残したいやインプラントや義歯希望、
または広範囲の切除が必要となる腫瘍、放射線療法などが適応と判断する場合、
専門病院や大学病院をご紹介させていただいています。
|