臼歯に不正咬合があり定期的に削っていましたが定期削歯間隔が長い間空いたことで上顎臼歯根が過長となり膿で白い眼脂&眼圧もあがり眼脱臼しそうになっていました。食欲も極端に低下。歯根部上あたりに硬い膨らみあり。WBC↑腎機能異常無し。
X線でも上顎の臼歯根部周囲の骨吸収像と一部骨瘤がみられ、超音波で眼窩を確認すると何かが貯留している像がありました。
骨瘤から針を刺し、泥状の膿を回収後検査へ。
その間、内科的治療(膿状を融解するものや一般的抗生剤)でよくならず。
同方法では2例目ですが今回は耐性菌とわかり内科的治療継続か中止と外科的な方法の選択をしていただき、抗生剤の危険性や外科的手技の提案をさせていただき外科的方法を選択されました。
|
側面皮膚を切開し骨瘤部からアプローチし骨瘤部をドリルで切開し溜まった膿を除去。眼を押し膿の通り道を確認し眼圧低下と眼脱臼状態からの改善を確認。中の膿を抗生剤を混ぜたオイルペーストで洗浄擦把。。原因の過長根臼歯を一本抜歯。そこに膿域から口腔内に抜けるようにシリコンチューブドレナージを設置。下顎臼歯をドリルにて整削。皮膚を縫合し皮膚から針にて薄めた抗生剤オイルペーストを2日ほど注入洗浄。ドレナージから出たものは細い綿花にてふき取る。
術後2日目日より食欲があがり食べ洗浄は数日おきに変更。あとは通院で毎日抗生剤の注射を。
|
術後4週間後の皮膚縫合吸収糸の抜糸時の写真です。
WBC・眼圧正常 口腔内ドレナージからの排膿もなし。
ドレナージ固定糸を抜糸しドレナージを回収。
それから数か月経ち口腔内下顎の不正咬合部の定期的削歯で通われてます。ドレナージ部は自然閉鎖します。
術部皮膚の毛もだいぶ生え揃いしっかり食べ元気です。
泥状の膿をサラサラにしていかに取り除くか
溜まった膿部分をどうするのか
ストレスや抗生剤に耐えられるのか
開放性の外科治療の場合、見た目をどう維持するか同意が得られるのか
再発の可能性
いろいろ方法が試されて文献にありますが、まだまだウサギの歯根膿瘍に対する確実な方法がなく試行錯誤だと思われます。
腎機能や心機能が低下した子や進行程度の酷い症例は全般的に難しいと思われます。
|