イザワクリスマスオープン’98

 私、水田が初めてガットを張りに行ったプロテニスの大会です。
すべてはここから始まったと言っても過言ではありません。
ここで、私の師匠、神戸の松本交右ストリンガーに出会うことができたのだから・・・。

 「早速だけど、これ張って」と手渡されたラケット、今でもはっきりと憶えています。
私にとって、初めてのプロ選手のラケットでしたから、気合を入れて張ろうと思っていると、
「あまり気合入れなくていいよ、テンションがかわっちゃうから、普段どおりに張ればいいよ」

松本さんが私の心を見透かしたように、そうおっしゃいました。
 初めて張り上げたプロ選手のラケットを松本さんにチェックしてもらうと・・・
ポンポンとラケット面を叩いたあと、「うん、Good」と言ってくれたのですが、そう言いながら入念に
目直しをしているのを見て、とても複雑な気分でした。
自分としてはかなりきれいに目を整えたつもりだったのに。
ああ、やっぱりプロの仕事は甘くないな、と身が引き締まる思いでしたね。
 何本か張ったあと90インチのラケットに64ポンドで張ったのですが、そのラケットには少しだけ
ヒビが入っていたのです。
大丈夫かぁ、これ?と、びくびくしながら張ったのですが、何事もなく張り終えることができて
ホッとしていると、その直後、今度は95インチのラケットに70ポンドがきました。
このラケットにはヒビも入っていなかったし、そのころにはもう雰囲気にも慣れてきていたので、
スイスイ張っていたのですが、何気なくメーターに目をやると66ポンドを表示していたのです。
「たた大変だー、さっき無事に張れたので、油断してテンションを設定しなおすのを忘れたか?」
と思いつつ、とりあえずクランプを止めてテンションを開放するとメーターは70を示しています。
あっれー??? 松本さん曰く、マシンを3台使っていることによる電圧不足とのことでした。
ブースターなしのマシンを使っていたので、ブースター付のマシンで張りなおして一件落着。

仕事を終えて、松本さんと食事して同じ部屋に泊まって、いろんなお話を聞くことができましたし
とてもいい経験をさせていただきました。
翌日、私はなぜか寝不足で、一日中ぼーっとしていましたけど。

この大会に張りに行ってなかったら、そこで松本さんと出会わなかったら、今の私はありませんね。
それどころかストリンガーをやめてしまっていたかもしれません。
それくらい、私にとって大きな出会いでした。

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