カソムの報酬
俺の名はメルバム・カソム。USOのスペシャリストだ。
身長2.5メートルの巨体が生み出す怪力は、スペシャリストの中でもトップクラスである。
したがって、数々の特殊任務に参加する機会も多い。
さきほども、アトランやローダン、グッキーたちと組んで、ある任務を達成したばかりだ。
こういう任務の後は、即座に特別ボーナスが振り込まれる。
翌朝、俺はさっそくテラニアの銀行にいって、通帳をチェックした。
特別ボーナスの100万ソラ−が振り込まれているはずである。
通帳をチェックした瞬間、俺の顔が真っ赤になり、髪の毛が逆立った。
…髪の毛は、まぁ、その、最初っからだ。
俺は、さっそくクレームをつけた。
「おい、100万ソラ−入金のはずが、100万ソラ−出金になってるぞ。ただちに訂正してもらいたい」
そのとたん、背後で空気がゆらぎ、何かが出現した気配がした。
グッキーの奴だ。テレポートしてきたな。
「やぁ、カソム」
「なんだ。ちび」
「作戦前に聞いてなかったかい。今、太陽系帝国も財政難でね」
「だから?」
「作戦中にあんたが余分に食べた食料分は、あんたの報酬から引いておくってさ」「へぇ〜、200万ソラ−も食べたんだ」「100万の報酬から、200万を引くと、100万のマイナスか」
俺の拳が当たる瞬間、グッキーの姿が消えた。
ちくしょう、テレポートで逃げやがった。
俺の名はメルバム・カソム。USOのスペシャリストだ。
身長2.5メートルの巨体を生かし、
普通のスペシャリスト10人前の働きは楽にこなす。
しかし、欠点もある。
普通のスペシャリスト30人前は、食べることだ。
2005.10.29