ベリーの内職。

太陽系帝国の大執政官ともなると、私的な交際費もずいぶん大きな金額になる。
支給される報酬だけでは、とても足りない。

だから私は、秘密の収入源を確保した。
私のさまざまな体験を元に小説を書き、印税を得るという方法だ。
アトランも、私が常に最前線での作戦に参加する真の理由が、この印税のためだとは気付いていない。
現場での体験が、ストーリーを活性化させるのさ。

しかし最近、その印税収入が激減してきた。
原因は、同じようなストーリーの本を、私より早く出版する競争相手が現れたからだ。
これはひとつ、その筆者と会う必要があるな。

いったいどんな人物だろう。
そして、どんな手を使って、ストーリーの元になるデータを集めているのだろう。
私は、出版社からその作者の住所を聞き出し、訪ねていった。

オフィスのドアを開けると、執筆用と思われる大きな机があった。
そして、
「やぁ、ベリー。ボクのプライベートルームにようこそ。ちょっと待っててね。もう少しでこの原稿、書き上がるから」
大きな椅子にちょこんと腰掛けて原稿を書いていたのは、グッキー。

        <END>2005.11.10