白い影
白い影が…。
影は、人の形へと…。
空気が冷たくなっていく。
「おい、幽霊の出る季節は夏じゃないのか」
「そうだ、そうだ、冬に出る幽霊なんて聞いたことがないぞ」
「今が、冬か夏かもわからないのか」
俺たちは、徹底的にその白い影にむけて、罵声を浴びせ掛けた。
やがて、白い影は弱弱しく揺らぎ、消滅した。
幽霊や妖怪の類は、人間の恐怖心につけ込む存在だ。
恐怖心を克服しさえすれば、このとうりさ。
人間たちがいなくなった後、
自信を失って、落ち込む姿があった。
「シクシク、シクシク」
「私を幽霊なんかと一緒にして…」
「私は…」
「私はれっきとした妖怪・雪女なのに」
2006.2.6