人間になった馬 (ややエロ小話)
ある晩、神様が一頭の馬の前に現れてこう言いました。
「お前は、よく働く馬だ。馬のままで置いておくのはもったいない。人間にしてやろう」
神様が杖を振るたびに、馬の顔が人間の顔に、前足が人間の手に、と変わっていき、やかで完全な人間の男の姿になりました。
男は、自分の身体をあっちこっち見てから、神様にこうお願いしました。
「あの、神様。人間にして頂いてありがとうございます。ですが、ほんの一箇所だけでいいですから、馬の身体に戻してください。これから先、そこを見るたびに、元は馬だったことを思い出し、神様のご恩に感謝し、謙虚に生きていくためです」
「ふむ、私の目に狂いはなかった。お前の謙虚さは賞賛に値する。で、どこを馬に戻してもらいたいのかね?」
男は黙ってうつむき、じっとへその下あたりを見つめた。
2006.5.23