金の斧、銀の斧

鉄の斧を池に落とした正直なきこりは、女神様から、金の斧と銀の斧も貰いました。
それを真似た欲深いきこりは、池に投げ入れた鉄の斧も、返してもらえませんでした。

この二人の話を聞いて、三人目のきこりが、また池に斧を投げ入れました。
女神様が出てきて「あなたが落としたのは、この金の斧ですか。それとも、こちらの銀の斧ですか」
「みすぼらしい鉄の斧ですだ、女神様」
「ではこれを…」
きこりは、斧を返して貰うと
「よかった。ありがとうございますだ。なにせ最近、産業廃棄物の不法投棄禁止法って法律ができましてな。使えなくなった斧でも、そのへんに勝手に捨てると罰を受けなければなんねぇ。ものを捨てるのもお金を払って、専門業者に頼まなければなんねえ。いやな世の中になりました」
「そうですね…」
「ところで女神様、おら、廃棄物回収の仕事もしてますだ。もし女神様が手放したいと思っているモノがあれば、どんなに重たいものであろうと、いくらでもおらが引き受けますだ。よろしくおねがいしますだ」
きこりの視線は、女神が両手に持っている金と銀の斧に熱く注がれた。

2006.5.26