ゴミ処理鳥

20**年、松戸博士が画期的なゴミ処理のシステムを開発した。
どんなゴミでも食べるゴミ処理鳥だ。
しかも、食べたゴミを金や宝石に変えて、過去に送り込んでしまう。

調査の結果、多くの金鉱脈などが、ゴミ処理鳥が過去に送り込んだものと判明した。

ゴミ処理鳥を何年が飼育した後、その地下を掘れば、金銀宝石がザクザク出てくる。
このことが知れると、ゴミ処理鳥は引っ張りだこになった。

「フフフッ、やっと4羽、手に入れたぞ。これで俺も…」
男は、三人の子分たちと一緒に、盗んできた檻をトラックから下し、不法投棄のゴミが堆積している囲いに持ち込み、檻の戸を開けた。
大きなゴミ処理鳥が檻から出て来て、あたりを見回す。
「ほほう、一番有害なゴミを探してるな」
4羽のゴミ処理鳥はゆっくりと歩きだす。
男は、ぼんやりとその動きを見ていた。三人の子分と共に…。

翌朝、囲いの中には4羽のゴミ処理鳥の姿だけがあった。

「つまり、その四人を社会のゴミと判断したってことですか」
ゴミ処理鳥盗難事件について、記者団が質問した。
「で、四人はどこに」
「おそらく、過去に送られたんでしょうな」
「詳しいことは、我々警察より、科学者に聞いたら良いでしょう」
「科学者というと、才媛の松戸博士?」

「タイムモニターで、消えた四人を追跡してみました。三人は動物の姿に変っていました。残る一人は…」
「泥棒団のボスですね」
「映像でお見せしましょう」
モニターには、川上から流れてくる桃が、どんぶらこ、どんぶらこ。
「赤ん坊になった彼があの中に入っています」

   終り 2007.10.4