ヴィゼンディアワールド・ストーリー
 虹の翼のシルフィード


1.プロローグ

 目次
 光と闇に喩えられた、相反する女神の想いは人々の心を揺さぶり続けた。
「怖いの?」
 怯えたような雛鳥の鳴き声が、微かに耳に届く。
 少女は表情を曇らせると、翠色の瞳を静かに閉じた。
 視界を閉ざす暗闇に甦るのは、胸を締め付ける記憶。
 胸に湧き上がる恐ろしさを堪えられず、瞳を開いた少女は僅かに唇を開いて何事かを呟いた。
 そっと差し出した手の平で輝く、淡い淡い光。
 その光が、確かな道標となるように。
 そう願う少女は、手の平へ湛えた淡い光をそっと胸に抱く。
「……大丈夫、私がずっと傍にいてあげるから」
 薄桃色の小さな唇が、少女の決意を紡ぎ出した。

 
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