聖書を理解するための基礎問題集
まえがき
聖書を理解するための一番の近道は,自分で問題を考え,解いてみることだと思います。
そこで,クリスチャンが聖書をもっとよく理解するために必要だと思われる基礎的な内容を,問題集としてまとめてみました。
是非,ご自分で解いてみて下さい。
以下の問題と解答には,ハーベスト・タイムのコンテンツから学ばせていただいた内容が非常に多く含まれています。
したがって,聖書をさらに詳しく学びたいという方は,ハーベスト・タイムを参照して下さい。
注:以下の問題あるいは解答に不備があれば,それはすべて私の責任です。
この問題集に対して,ハーベスト・タイムには何の責任もありませんので,ハーベスト・タイムへのお問い合わせはご遠慮下さい。
目次
問題
- 問1:漢字一字で表せる,神の重要なご性質を,三つ書きなさい。
- 問2:「神が愛なら,なぜ悪者を放置しているのか」という問いに答えなさい。(ヒント:イザヤ55:8~11。)
- 問4:三位一体という概念は理解するものではなく,信じるものだという理由を,簡潔に述べなさい。
- 問5:旧約聖書と新約聖書の関係を,穴埋めで答えなさい。
旧約聖書の( )が新約聖書である。それゆえ,旧約聖書と新約聖書の間に断絶や不連続性はない。
- 問6:聖書(旧約聖書と新約聖書)には比類なき信頼性があるが,その根拠を穴埋めで答えなさい。
(1)( )を初めとするイエスの弟子たちは,聖書の正しさを( )で証言した。
(2)聖書の( )(特にユダヤ民族とメシアの初臨に関するもの)は,ことごとく成就している。
(3)聖書に記録されている人物の存在や出来事は,( )学者の発掘によって実証されてきた。
(4)激しい迫害に遭ったにもかかわらず,聖書の( )の数は他の古典に比べて桁外れに多い。
(5)約( )年に渡って,身分も職業も生きていた時代も異なる約( )人の人々が記したにもかかわらず,聖書の内容は調和していて,全体として不思議な一貫性がある。
- 問7:問6で答えた五つの根拠について,それぞれ具体的に説明しなさい。
- 問8:正しい聖書観を,穴埋めで答えなさい。
聖書は( )において,全く誤りのない( )である。
- 問9:問8で答えた聖書観が正しいことを保証する聖書箇所を示しなさい。
- 問10:問8で答えた「原典」あるいは「原本」の意味を簡潔に述べなさい。
- 問11:聖書の写本や翻訳にはわずかに誤りがある。その理由を簡潔に述べなさい。
- 問12:「聖書はすべて神の霊感による(直訳「神の息(霊)が吹き込まれている」)」(2テモテ3:16)とはどういう意味か,簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの「聖書には誤りは含まれていないのですか?」。)
- 問13:聖書は漸進的啓示によって書かれてきたが,その「漸進的啓示」の意味を簡潔に述べなさい。
- 問14:聖書は旧約39巻,新約27巻で完結している。その意味を簡潔に述べなさい。
- 問15:「聖書のことばを字義通りに解釈する」とはどういう意味か,簡潔に説明しなさい。
- 問16:なぜ聖書のことばを字義通りに解釈すればよいのか,その理由を簡潔に述べなさい。
- 問17:聖書を読むときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。
聖書は,それが書かれた( )が理解した方法で読む必要がある。現代の私たちの常識や価値観を聖書に押しつけて読んではならない。
- 問18:聖書を読むときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:すべて同じことばが入る。)
聖書は( )人によって,( )的背景の下で書かれたので,( )的視点から読む必要がある。聖書は非常に( )的な書である。
- 問19:聖書を理解するときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:ヨハネ17:17b,16:13~15,15:26~27,8:25bなど。)
聖句の意味は( ),適用は複数ある。
- 問20:聖書を読むときに,聖書全体の文脈や前後の文脈を考えることは非常に重要である。では,文脈を無視して読むと,どのような問題が生じるか,具体的に説明しなさい。
- 問21:ある日本語訳聖書を読んでいて意味がよくわからない場合,ヘブル語やギリシア語の原文で意味を調べるのが基本だが,それらの言語がわからない場合はどうすべきか,答えなさい。
- 問22:ディスペンセーショナリズムに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」。)
聖書を一貫して字義通りに解釈した結果,通常,7つの( )の存在が認識される。
- 問24:ディスペンセーショナリズムの3つの特徴(チャールズ・ライリー博士)を,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」。)
①聖書の( )の解釈,②( )と( )の一貫した区別,③聖書が書かれた目的は( )であるという認識
- 問25:7つのディスペンセーションを,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(2)」。)
1.( )の時代(創1:28~3:8)
2.( )の時代(創3:9~8:14)
3.( )の時代(創8:15~11:32)
4.( )の時代(創12:1~出18:27)
5.( )の時代(出19:1~使徒1:26)
6.( )の時代(使徒2:1~黙示19:21)
7.( )の時代(黙示20:1~10)
- 問26:ディスペンセーショナリズムに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(3)」。)
7つのディスペンセーションの土台には,( )の聖書的契約がある。これらの聖書的契約は( )契約と( )契約に分類される。
- 問27:8つの聖書的契約を,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(4)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(5)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(6)」。)
1.( )契約(創1:26~31,2:16~17)
2.( )契約(創3:14~19)
3.( )契約(創9:1~17)
4.( )契約(創12:1~3,12:7,13:14~17,15:1~21,17:1~21,22:15~18)
5.( )契約(出19:3~8,より広くは出20:1~31:18)
6.( )の契約(申29:1~30:10)
7.( )契約(2サムエル7:11b~17,1歴代誌17:10b~15)
8.( )契約(エレミヤ31:31~34)
- 問31:ディスペンセーションが移行すると何が変わるのか,簡潔に述べなさい。
- 問35:モーセの律法は私たち異邦人とどのような関係があるか,簡潔に述べなさい。
- 問36:モーセの律法は今も有効なのか,それとも無効なのか,簡潔に述べなさい。(ヒント:ローマ7:1~6,10:4,2コリント3:2~11,ガラテヤ3:19,3:23~25,エペソ2:14~16,ヘブル7:11~18。)
- 問37:十戒は今も有効なのか,それとも無効なのか,簡潔に述べなさい。(ヒント:ヤコブ2:10~11。)
- 問38:新約時代のユダヤ人信者はモーセの律法から自由になっているが,モーセの律法の一部を守る自由もある。その理由を,聖書的根拠を挙げつつ,簡潔に述べなさい。(ヒント:使徒18:18,20:16,21:17~26におけるパウロ。)
- 問39:聖書が教える救いに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:ローマ5:1~11。)
聖書が教える救いとは,神の( )からの解放である。救われた者は,過去・現在・未来のすべての罪が( ),神と( )し,神との( )を持っている。
- 問40:いつの時代も変わらない,救いの原則を答えなさい。(ヒント:エペソ2:8~9。)
- 問41:人が救われるために行いは必要ないことを,旧約聖書と新約聖書から一つずつ,聖書箇所を示して具体的に説明しなさい。
- 問42:新約時代を生きる私たちは,どのようにして救われるのか,聖書箇所を示して説明しなさい。
- 問43:イエス・キリストは神であり人であることを,新約聖書から聖書箇所を一つ示して論証しなさい。
- 問44:イエスの贖罪死(身代わりの死)は完全だったと言える理由を,聖書箇所を示して簡潔に述べなさい。(ヒント:「煉獄」は存在するか。)
- 問45:新約時代の信者のうちには,聖霊だけでなく,キリストも,父なる神もおられる。その証拠となる聖書箇所を,一つずつ挙げなさい。
- 問46:私たちは,一度,イエス・キリストを信じたら,永遠に救いを失うことはない。その理由を簡潔に述べなさい。
- 問47:万人祭司という教えが正しいことを示す聖書箇所を挙げなさい。
- 問48:新約時代の献金の原則を,簡潔に述べなさい。(ヒント:1コリント16:1~2,2コリント9:6~12。)
- 問49:4つの福音書に関して,穴埋めで答えなさい。
(1)マタイの福音書は( )人に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(2)マルコの福音書は( )人クリスチャンに向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(3)ルカの福音書は( )人に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(4)ヨハネの福音書は( )に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
- 問50:イエスが公生涯を歩まれていた当時のパリサイ的ユダヤ教で,メシアにしかできないと言われていた奇跡を三つ答えなさい。(ヒント:(1)マタイ8:2~4,ルカ17:11~19,(2)マタイ9:32~33,12:22~23,(3)ヨハネ9:1~38。)
- 問51:新約聖書が旧約聖書を引用する方法は4つある。マタイ2章の聖句(6節,15節,18節,23節)を使って,4つのカテゴリーについて,それぞれ説明しなさい。(ヒント:旧約聖書のメシア預言とその成就する確率。)
- 問52:旧約聖書のメシア預言に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:旧約聖書のメシア預言とその成就する確率。)
旧約聖書のメシア預言から,メシアの初臨に関して,次のことがわかる。
(1)メシアは( )であり人である
(2)メシアが生まれる前触れとして,一つの( )が現れる
(3)メシアは( )から生まれる
(4)メシアはユダの地にある( )で生まれる
(5)メシアは( )の子孫である
(6)メシアはイスラエル12部族のうち,( )部族から出る
(7)メシアは( )の家系に生まれる
(8)メシアは紀元( )年までに生まれている
(9)メシアは( )家庭に生まれる
(10)メシアが来る前に,まず( )が現れる
(11)ヤハウェから遣わされたメシアは,与えられた使命を果たすため,( )の油注ぎを受ける
(12)メシアは( )のような預言者である
(13)メシアは( )族と( )族の地で主な宣教活動を行う
(14)メシアは( )人にも救いをもたらす
(15)メシアはモーセの律法を完全に守る,唯一の( )人である
(16)メシアは神の( )子である
(17)ヤハウェはメシアのうちに,ご自身の( )を現す
(18)メシアは初臨のとき,( )から拒絶される
(19)( )人の王であるメシアは,正しく,救いを賜り,柔和で,( )に乗って来られる
(20)メシアはイスラエル全体,特にイスラエルの( )に奉仕する
(21)イスラエル全体としてはメシアを拒否するが,少数の( )はメシアを受け入れる
(22)イスラエルの指導者たちは,メシアを銀貨( )枚で買う
(23)メシアは( )の身代わりとして苦しみを受けるが,それを( )は理解せず,彼に神の罰が下ったのだと考える
(24)メシアは黙って( )を受ける
(25)メシアは裁判を受け,( )を宣告され,処刑される
(26)しかし,その時代のイスラエルは,メシアがイスラエルの( )のために死なれたことに気づかない
(27)メシアは,極度の苦しみの中で,裁きを下す( )に向かって助けを叫び求める
(28)受難のメシアを見る人々は,メシアをさげすみ,あざけり,メシアに向かって( )を振る
(29)メシアは( )に信頼を置く
(30)受難のメシアは,取り囲まれ,( )にさらされる
(31)メシアの( )は裂かれる
(32)メシアは極度の( )を覚える
(33)苦しめる者たちは,メシアの衣服を分け合い,衣を( )にする
(34)メシアは突き刺されるという暴力的な手段で( )
(35)ヤハウェであるメシアに値積もりされた銀貨( )枚は,神殿域にある陶器師の( )に投げ入れられる
(36)メシアは,その死のときに,( )の墓に埋葬される
(37)メシアが苦しみを受け,( )ことは,ヤハウェのみこころである
(38)メシアは死後,( )する
(39)メシアの( )と( )によって,ヤハウェのみこころは成し遂げられる
(40)メシアは多くの人を( )とする
(41)メシアは,身代わりの( )を遂げることで,多くの人をヤハウェから分け与えられる
(42)メシアは初臨のときに拒絶されるが,その後,天に昇り,( )の右の座に着く
(43)メシアは,多くの人の罪を負い,背いた者たちのために,( )をする
(44)メシアは,エルサレム再建の命令が出された後,( )年経ってから刑死する
(45)メシアの死後,エルサレムと( )は破壊される
- 問53:聖書が教える終末論に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書が教える救いと終末論。)
聖書を一貫して字義通りに解釈すると,終末に地上で起こる出来事は,次のような順序になることがわかる。
メシアの死と埋葬→メシアの復活→メシアの昇天→( )降臨,( )の誕生→教会時代→教会の( )→7年間の( )時代→イスラエルの民族的回心→メシアの( )→( )王国→白い御座のさばき→( )
- 問54:レビ記23章に書かれている7つの主の例祭はそれぞれ何を予表しているか,答えなさい。(ヒント:聖書が教える救いと終末論。)
- 問56:マタイ16:18の「この岩」とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:「告解」についての追記。)
- 問58:使徒や預言者を名乗る人が,本物かにせものかを見分ける方法を簡潔に述べなさい。
- 問59:現在,使徒職の回復を主張する人たちがいる。彼らの主張は聖書的か,それとも非聖書的か,簡潔に述べなさい。(ヒント:「回復」の意味。)
- 問61:原罪とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの3分動画「原罪って,なに?」。)
- 問62:罪とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:1ヨハネ3:4。)
- 問63:すべての人には生まれつき自由意志が与えられていることを,簡潔に論証しなさい。
- 問64:アダムの堕落について,創世記3章とホセア6:7と1テモテ2:14から要約して,簡潔に述べなさい。(ヒント:「アダム」はヘブル語で「人」という意味。)
- 問65:イスラエルは何のために選ばれたのか,簡潔に述べなさい。
- 問66:イスラエルは「主の聖なる民」(申命記7:6,14:2,14:21,26:19)と呼ばれ,イエス・キリストを信じる者たちは「聖徒たち」(使徒9:13,26:10など)とも呼ばれているが,この「聖」とはどういう意味か,簡潔に述べなさい。
- 問67:ペテロにだけ与えられた「天の御国の鍵」は複数ある(マタイ16:19)。ペテロはこれらの鍵を誰のために使ったか,答えなさい。
- 問68:私たち異邦人もユダヤ人伝道をする必要がある理由を,簡潔に述べなさい。(ヒント:(1)ローマ1:16,(2)ローマ15:27,(3)詩篇122:6~9。)
- 問69:「生きている間に,聖書の福音を聞けなかった人たち(例えば,キリスト教が伝わる前に生きていた日本人)は救われるのか」という問いに対して,聖書に基づいて答えなさい。(ヒント:生物学の授業で習う「進化」は事実か?の補足。)
- 問70:真理かどうかを判断するのに,多数決は決定的な意味を持つか,聖書から具体例を挙げて簡潔に述べなさい。
解答
- 問1:漢字一字で表せる,神の重要なご性質を,三つ書きなさい。
- 答:愛,聖,義
- 問2:「神が愛なら,なぜ悪者を放置しているのか」という問いに答えなさい。(ヒント:イザヤ55:8~11。)
- 答:悪者が放置されているように見えても,それは永遠の視点(神の視点)から見ればほんの一時的なものである。状況が人間の期待どおりにならなくても,神は常に働いておられる。神のご計画と人間の考えは違う。私たちには忍耐が要求されるが,歴史の支配者である神を信頼することで,希望を持つことができる。
(参考:詩篇37篇も読んで下さい。)
- 問4:三位一体という概念は理解するものではなく,信じるものだという理由を,簡潔に述べなさい。
- 答:人間は自然界に存在するものを基にして,新しい概念を理解しようとする。しかし,三位一体の神は無限であり,かつ,遍在である。このような性質を有するものは自然界には存在しない。ゆえに,人間は三位一体という概念を理解することができない。つまり,三位一体という概念は理解するものではなく,信じるものである。
- 問5:旧約聖書と新約聖書の関係を,穴埋めで答えなさい。
旧約聖書の( )が新約聖書である。それゆえ,旧約聖書と新約聖書の間に断絶や不連続性はない。
- 答:続き
- 問6:聖書(旧約聖書と新約聖書)には比類なき信頼性があるが,その根拠を穴埋めで答えなさい。
(1)( )を初めとするイエスの弟子たちは,聖書の正しさを( )で証言した。
(2)聖書の( )(特にユダヤ民族とメシアの初臨に関するもの)は,ことごとく成就している。
(3)聖書に記録されている人物の存在や出来事は,( )学者の発掘によって実証されてきた。
(4)激しい迫害に遭ったにもかかわらず,聖書の( )の数は他の古典に比べて桁外れに多い。
(5)約( )年に渡って,身分も職業も生きていた時代も異なる約( )人の人々が記したにもかかわらず,聖書の内容は調和していて,全体として不思議な一貫性がある。
- 答:(1)使徒(「使徒たち」でも可),命がけ (2)預言 (3)考古 (4)写本 (5)1500,40
- 問7:問6で答えた五つの根拠について,それぞれ具体的に説明しなさい。
- 答:(1)ヨハネの兄ヤコブは,ヘロデ・アグリッパ一世によって殺され(使徒12:1~2),ペテロも殉教した(ヨハネ21:18~19参照)。また伝承によると,ヨハネを除く使徒たち全員が殉教している。この伝承を覆す有力な証拠はない。ヨハネも,神のことばとイエスの証しのためにパトモス島へ流刑になった(黙示録1:9)。彼らはイエスと約三年半の間生活をともにしている(使徒1:21~26参照)。そして,使徒たち以外の当時の弟子たちも,イエスが行われたわざなど,「数多くの確かな証拠」(使徒1:3)を直接見たり体験して,このお方こそ旧約聖書で預言されていたメシアだと確信したのである。
(2)迫害され続けてきたユダヤ民族が,滅亡することなく今も存在している理由は,アブラハム契約にある。アブラハム契約以外の世俗的な視点でユダヤ民族が滅亡しない理由を説明することは不可能である。また,メシア預言の正確さは,特にイザヤ書53章によって示されている。イザヤ書53章が,イエスが誕生する以前に書かれたことは,死海写本の発見によって確証されている。
(3)例えば,アッシリアの王サルゴン2世(イザヤ20:1)。フランスの考古学者ボッタ(Botta, Paul Émile)が1842年コルサバードでサルゴン2世の宮殿跡を発見したことにより,その実在が証明された。
(4)303年,ローマ皇帝ディオクレティアヌスはクリスチャンを非常に激しく迫害し,聖書の焼却も命じた。しかし,そのような大迫害に遭ったにもかかわらず,新約聖書のギリシア語写本は5300以上も現存している。迫害に遭いながらも多くの写本が作られてきたということは,聖書は非常に重要視されていたことを意味し,また,命がけで守る価値があったことを意味する。
(5)モーセ五書(前1400年頃)からヨハネの黙示録(紀元95年頃)まで,約1500年。旧約聖書の著者は少なくとも30人,新約聖書の著者は少なくとも8人,合計約40人。彼らの身分・職業は,預言者,祭司,律法学者,総督,王,歌い手,羊飼い,農夫,取税人,医者,漁師,ラビなど。聖書の内容が調和している理由は,ひとりの著者によって書かれたから。
(参考:旧約聖書の著者の人数については,「60分でわかる旧約聖書」(1)~(39)を参照して下さい。)
- 問8:正しい聖書観を,穴埋めで答えなさい。
聖書は( )において,全く誤りのない( )である。
- 答:原典(「原本」でも可),神のことば
- 問9:問8で答えた聖書観が正しいことを保証する聖書箇所を示しなさい。
- 答:マタイ5:17~19,2テモテ3:16,ヨハネ14:26,15:26,16:13,2ペテロ1:21。
- 問10:問8で答えた「原典」あるいは「原本」の意味を簡潔に述べなさい。
- 答:最初に書かれた書
- 問11:聖書の写本や翻訳にはわずかに誤りがある。その理由を簡潔に述べなさい。
- 答:神の霊感によらないから
- 問12:「聖書はすべて神の霊感による(直訳「神の息(霊)が吹き込まれてある」)」(2テモテ3:16)とはどういう意味か,簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの「聖書には誤りは含まれていないのですか?」。)
- 答:書かれた結果に誤りがない
(参考:神の息(霊)が吹き込まれてあることが,聖書の無謬性と無誤性を保証している。)
- 問13:聖書は漸進的啓示によって書かれてきたが,その「漸進的啓示」の意味を簡潔に述べなさい。
- 答:神は一時に啓示のすべてを与えたのではなく,時間の進展に沿って徐々に啓示を与えた。啓示が徐々に積み重なっていくことを「漸進的啓示」という。
(参考:聖書を解釈するときには,その時点でどこまで啓示が与えられていたのかを考える必要がある。)
- 問14:聖書は旧約39巻,新約27巻で完結している。その意味を簡潔に述べなさい。
- 答:これ以上,新しい啓示や正典が与えられることはない。つまり,聖書には,私たちに必要なことはすべて書かれている。
(参考:聖書の正典については,聖書入門.comの「聖書の成り立ちについて教えてください。」を参照して下さい。)
- 問15:「聖書のことばを字義通りに解釈する」とはどういう意味か,簡潔に説明しなさい。
- 答:比喩は比喩として,象徴的なことばは象徴的なことばとして解釈する。それ以外は文字通りのことばとして解釈する。
- 問16:なぜ聖書のことばを字義通りに解釈すればよいのか,その理由を簡潔に述べなさい。
- 答:一言で言うなら,神は愛だから。神は人に対して意地悪な啓示は与えない。それは神のご性質にかかっていることだからである。それゆえ,神のご人格に信頼を置くなら,必然的に字義通りの解釈しかないことになる。実際,聖書の預言はすべて字義通りに成就してきたので,将来に関する預言も字義通りに成就すると考えるのが,最も理にかなっている。
(参考:聖書の読み方には「一つの規則」があることを示唆している聖句がある。それは,2テモテ2:15の「まっすぐに説き明かす」(新改訳2017),「まっすぐに語る」(聖書協会共同訳)と訳されたことばで,「オルソトモー(ὀρθοτομῶ (-έω))」というギリシア語である。この動詞は,「規則に従って正しく切る」という意味である。よって,ある箇所は字義通りに,ある箇所は比喩的に読むというような読み方は,あり得ない。)
- 問17:聖書を読むときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。
聖書は,それが書かれた( )が理解した方法で読む必要がある。現代の私たちの常識や価値観を聖書に押しつけて読んではならない。
- 答:当時の人たち
- 問18:聖書を読むときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:すべて同じことばが入る。)
聖書は( )人によって,( )的背景の下で書かれたので,( )的視点から読む必要がある。聖書は非常に( )的な書である。
- 答:ユダヤ
- 問19:聖書を理解するときの注意点に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:ヨハネ17:17b,16:13~15,15:26~27,8:25bなど。)
聖句の意味は( ),適用は複数ある。
- 答:一つ
(参考:ヨハネ17:17b,16:13~15,15:26~27,8:25bなどから,聖書に書かれた神のみことばは真理である。真理は一つである。ゆえに,みことばの意味は一つである。)
- 問20:聖書を読むときに,聖書全体の文脈や前後の文脈を考えることは非常に重要である。では,文脈を無視して読むと,どのような問題が生じるか,具体的に説明しなさい。
- 答:聖書の文脈を無視すると,例えば次のようなおかしな主張が出て来る可能性がある。「イエスは安息日に会堂へ行かれた。パウロもまた,安息日に会堂へ行っている。よって,私たちクリスチャンも,モーセの律法で定められた安息日(土曜日)に教会で礼拝をすべきである。」
- 問21:ある日本語訳聖書を読んでいて意味がよくわからない場合,ヘブル語やギリシア語の原文で意味を調べるのが基本だが,それらの言語がわからない場合はどうすべきか,答えなさい。
- 答:他の日本語訳聖書と比較したり,英語訳など,自分がわかる言語で翻訳された聖書を調べてみる。その際,できれば複数の翻訳を比較するとよりよい。それでもわからない場合は,注解書や聖書辞典を調べてみる。また,他のクリスチャンに質問してもよい。それでもわからない場合は,その疑問は保留にしておく。
- 問22:ディスペンセーショナリズムに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」。)
聖書を一貫して字義通りに解釈した結果,通常,7つの( )の存在が認識される。
- 答:ディスペンセーション
(参考:ディスペンセーショナリズムの詳細は,2016年フルクテンバウムセミナー『ディスペンセーショナリズムとは何か』,2018年聖書フォーラムキャンプ『聖書解釈の逸脱と回復』,2019年1日セミナー『ディスペンセーショナリズム Q&A』を参照して下さい。)
- 問23:「ディスペンセーション」を簡潔に定義しなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」。)
- 答:神の計画が進展していく過程において出現する,明確に区分可能な神の経綸
- 問24:ディスペンセーショナリズムの3つの特徴(チャールズ・ライリー博士)を,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」。)
①聖書の( )の解釈,②( )と( )の一貫した区別,③聖書が書かれた目的は( )であるという認識
- 答:①字義通り ②イスラエル,教会 ③神の栄光
- 問25:7つのディスペンセーションを,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(1)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(2)」。)
1.( )の時代(創1:28~3:8)
2.( )の時代(創3:9~8:14)
3.( )の時代(創8:15~11:32)
4.( )の時代(創12:1~出18:27)
5.( )の時代(出19:1~使徒1:26)
6.( )の時代(使徒2:1~黙示19:21)
7.( )の時代(黙示20:1~10)
- 答:1.無垢 2.良心 3.人間による統治 4.約束 5.律法 6.恵み 7.御国
- 問26:ディスペンセーショナリズムに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(3)」。)
7つのディスペンセーションの土台には,( )の聖書的契約がある。これらの聖書的契約は( )契約と( )契約に分類される。
- 答:8つ,条件付,無条件
- 問27:8つの聖書的契約を,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(4)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(5)」「ディスペンセーショナリズムとは何か(6)」。)
1.( )契約(創1:26~31,2:16~17)
2.( )契約(創3:14~19)
3.( )契約(創9:1~17)
4.( )契約(創12:1~3,12:7,13:14~17,15:1~21,17:1~21,22:15~18)
5.( )契約(出19:3~8,より広くは出20:1~31:18)
6.( )の契約(申29:1~30:10)
7.( )契約(2サムエル7:11b~17,1歴代誌17:10b~15)
8.( )契約(エレミヤ31:31~34)
- 答:1.エデン 2.アダム 3.ノア 4.アブラハム 5.シナイ(「モーセ」でも可) 6.土地 7.ダビデ 8.新しい
(参考:ディスペンセーションと聖書的契約の関係を理解するために,第6回再臨待望聖会で使用されたモッテル・チャートが大変便利。)
- 問28:「条件付契約」の内容と特徴を簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(3)」。)
- 答:条件付契約とは,神と人との間に結ばれた双務契約である。人間がどのように応答するかによって,祝福か呪いかが決まる。また,無条件契約と違って,永遠の契約ではないので,いつか破棄される。事実,2つある条件付契約は,すでに破棄されている。
- 問29:「無条件契約」の内容と特徴を簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(3)」。)
- 答:無条件契約とは,神と人との間に結ばれた片務契約である。人間の側に契約不履行があっても,決して破棄されることはない。つまり,今も有効な契約である。
- 問30:問27で答えた8つの聖書的契約のうち,条件付契約はどれか。また,無条件契約はどれか,答えなさい。(ヒント:聖書入門.comの「ディスペンセーショナリズムとは何か(3)」。)
- 答:条件付契約はエデン契約とシナイ契約。無条件契約はアダム契約,ノア契約,アブラハム契約,土地の契約,ダビデ契約,新しい契約。
- 問31:ディスペンセーションが移行すると何が変わるのか,簡潔に述べなさい。
- 答:神の人間に対する統治原則が変わる。その結果,人間の責務も変わる。
(参考:神ご自身は変わらない。救いの原則も変わらない。詳細は,2016年フルクテンバウムセミナー『ディスペンセーショナリズムとは何か』,2019年1日セミナー『ディスペンセーショナリズム Q&A』を参照して下さい。)
- 問32:「ユダヤ人」を聖書的に定義しなさい。
- 答:アブラハム,イサク,ヤコブの肉体的子孫
(参考:詳細は,アーノルド・フルクテンバウム著/佐野剛史訳『ヘブル的キリスト教入門』を参照して下さい。)
- 問33:「異邦人」を聖書的に定義しなさい。
- 答:ユダヤ人(アブラハム,イサク,ヤコブの肉体的子孫)でない人
- 問34:モーセの律法とは何か,簡潔に述べなさい。
- 答:神が,モーセを通してイスラエルに与えた法体系。613の命令から成り,出エジプト記,レビ記,民数記,申命記に記されている。
(参考:モーセの律法には613の命令があると言ったのは,3世紀のラビ・シムライ。バビロニア・タルムードのトラクテイト・マコット23参照。)
- 問35:モーセの律法は私たち異邦人とどのような関係があるか,簡潔に述べなさい。
- 答:モーセの律法はイスラエルの民に与えられたものであって,異邦人に与えられたものではない。ゆえに,私たち異邦人には最初から無関係である。
- 問36:モーセの律法は今も有効なのか,それとも無効なのか,簡潔に述べなさい。(ヒント:ローマ7:1~6,10:4,2コリント3:2~11,ガラテヤ3:19,3:23~25,エペソ2:14~16,ヘブル7:11~18。)
- 答:メシアの死によって無効になったので,今は無効である。
- 問37:十戒は今も有効なのか,それとも無効なのか,簡潔に述べなさい。(ヒント:ヤコブ2:10~11。)
- 答:ヤコブ2:10~11から,モーセの律法は分割不可能な統一体である。十戒はモーセの律法に含まれている。モーセの律法は今は無効である。ゆえに,十戒も無効である。
- 問38:新約時代のユダヤ人信者はモーセの律法から自由になっているが,モーセの律法の一部を守る自由もある。その理由を,聖書的根拠を挙げつつ,簡潔に述べなさい。(ヒント:使徒18:18,20:16,21:17~26におけるパウロ。)
- 答:例えば,使徒18:18,20:16,21:17~26から,パウロはモーセの律法の一部を守っていることがわかる。そして,新約聖書では,ユダヤ人信者がモーセの律法の一部を守ることは禁止されていない。したがって,新約時代のユダヤ人信者には,ユダヤ人としてのアイデンティティ(自己認識)を保つために,モーセの律法の一部を守る自由もある。
- 問39:聖書が教える救いに関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:ローマ5:1~11。)
聖書が教える救いとは,神の( )からの解放である。救われた者は,過去・現在・未来のすべての罪が( ),神と( )し,神との( )を持っている。
- 答:怒り,赦され,和解,平和
- 問40:いつの時代も変わらない,救いの原則を答えなさい。(ヒント:エペソ2:8~9。)
- 答:人は,恵みのゆえに,信頼を通して(あるいは「信仰によって」)救われる
(参考:「信仰と恵みにより」と答えても間違いではないが,ギリシア語の原文では,まず「恵みのゆえに(τῇ χάριτι)」とあり,次に「信頼を通して(διὰ πίστεως)」(「信仰によって」とも訳せる)となっている。)
- 問41:人が救われるために行いは必要ないことを,旧約聖書と新約聖書から一つずつ,聖書箇所を示して具体的に説明しなさい。
- 答:例えば,次のようである。(1)創世記15:1~6。アブラムは主を信じたので義と認められた。(2)ルカ23:39~43。イエスと共に十字架につけられていた犯罪人の一人は,十字架上でイエスを信じた。それが義と認められた。(3)アブラムも犯罪人の一人も,行いによって義と認められたのではなく,神を信じる信仰によって義と認められた。よって,人が救われるために,行いは必要ない。
- 問42:新約時代を生きる私たちは,どのようにして救われるのか,聖書箇所を示して説明しなさい。(ヒント:聖書入門.comの動画「福音の三要素」。)
- 答:1コリント15:3~4に書かれている福音を信じれば救われる。つまり,旧約聖書に書いてあるとおりに,キリストは私たちの罪のために死なれたこと,墓に葬られたこと,三日目によみがえられたことに同意し,イエスこそ,そのとおりのお方であると信頼を置くことで,救われる。
(参考:1コリント15:3~4の福音を頭で理解しただけでは救われない。聖書が言う「イエスを信じる」とは,「イエスに信頼を置く」という意味である。)
- 問43:イエス・キリストは神であり人であることを,新約聖書から聖書箇所を一つ示して論証しなさい。
- 答:例えば,ヨハネ1:1~18から次のことがわかる。(1)ことばは(本質において)神である。(2)ことばとは,イエス・キリストのことである。(3)ゆえに,イエス・キリストは(本質において)神である。ということは,神ご自身である。(4)また,ことばは人となられた。(5)つまり,イエス・キリストは神であり人である。
- 問44:イエスの贖罪死(身代わりの死)は完全だったと言える理由を,聖書箇所を示して簡潔に述べなさい。(ヒント:「煉獄」は存在するか。)
- 答:イエスは十字架上で「すべてのことが完了した」(ヨハネ19:28)ことを知られ,「完了した」(ヨハネ19:30)と言われた。この「完了した」ということばはギリシア語で「テテレスタイ(τετέλεσται)」と言い,当時の商売用語で「負債が全額支払われた」という意味で使われていた。つまり,イエスの贖罪死は不完全なものではなく,完全なものだった。また,これは旧約聖書のメシア預言(イザヤ42:4,53:10)の成就である。
(参考:キリスト教の異端には,イエスの贖罪死は不完全だったと主張するグループもあるが,その主張には何の聖書的根拠もない。)
- 問45:新約時代の信者のうちには,聖霊だけでなく,キリストも,父なる神もおられる。その証拠となる聖書箇所を,一つずつ挙げなさい。
- 答:コロサイ1:27(キリストがうちにおられる),1ヨハネ4:15(父なる神がうちにおられる)
(参考:他に,ローマ8:10,2コリント13:5,1ヨハネ3:24,4:16といった箇所もある。)
- 問46:私たちは,一度,イエス・キリストを信じたら,永遠に救いを失うことはない。その理由を簡潔に述べなさい。
- 答:(1)イエス・キリストを信じて新生した者は,キリストに属する者となり,永遠のいのちが与えられる。(2)新生した者には,信じた瞬間に,賜物として聖霊が与えられる。聖霊は,御国を受け継ぐことの保証である。その聖霊が取り去られることがあるという教えは新約聖書にはない。(3)永遠のいのちは,永遠に続くので,永遠のいのちなのである。(4)よって,イエス・キリストを信じて新生した者は,永遠に救いを失うことはない。
(参考:救いは永遠に続くことを教える聖句は非常に多い。例えば,ヨハネ1:12~13,3:15,3:16,3:18a,3:36a,5:24,6:37,6:39~40,6:47,6:50~51,6:54,6:58,8:51,10:27~30,11:25~26a,17:2,20:31,ローマ8:1,8:31~39,1コリント15:45b,エペソ1:11,1:13~14,4:30b,ピリピ3:20,3:21,ヘブル7:25,1ペテロ1:4~5,1ヨハネ2:24~25,3:14a,5:11~12a,5:13など。問55の答も参照。また,旧約時代には聖霊が取り去られることがあった証拠として,例えば詩篇51:11(聖書協会共同訳は詩編51:13)がある。)
- 問47:万人祭司という教えが正しいことを示す聖書箇所を挙げなさい。
- 答:ヘブル10:19,1ペテロ2:9,黙示録1:6
- 問48:新約時代の献金の原則を,簡潔に述べなさい。(ヒント:1コリント16:1~2,2コリント9:6~12。)
- 答:誰かに強制されてではなく,自分で決めた額を,喜んで献げる
(参考:モーセの律法で定められている十分の一を計算すると,平均して毎年収入の22.3%強を献げなければならない。その内訳は次のとおり。仮に一年間の収入を100とする。(1)レビ人を支えるための十分の一として,10。聖句は民数記18:21~24。(2)主の祭りのための十分の一として,残り90のうちの十分の一なので,9。聖句は申命記12:5~7,12:10~19,14:22~26。(3)三年ごとの,貧しい人のための十分の一として,10。聖句は申命記14:28~29。(4)これらを計算すると,一年目は収入の19%,二年目も19%,三年目は29%を献げることになる。これを平均すると,(19+19+29)÷3≒22.3。)
- 問49:4つの福音書に関して,穴埋めで答えなさい。
(1)マタイの福音書は( )人に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(2)マルコの福音書は( )人クリスチャンに向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(3)ルカの福音書は( )人に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
(4)ヨハネの福音書は( )に向けて書かれていて,イエスを( )として描いている
- 答:(1)ユダヤ,ユダヤ人の王 (2)ローマ,神のしもべ (3)ギリシア,理想的な人間(「人の子」でも可) (4)全世界(「すべての人」でも可),神の子
(参考:各福音書の詳細は,「60分でわかる新約聖書」(1)~(4)を参照して下さい。)
- 問50:イエスが公生涯を歩まれていた当時のパリサイ的ユダヤ教で,メシアにしかできないと言われていた奇跡を三つ答えなさい。(ヒント:(1)マタイ8:2~4,ルカ17:11~19,(2)マタイ9:32~33,12:22~23,(3)ヨハネ9:1~38。)
- 答:(1)ユダヤ人のツァラアト患者の癒やし (2)口のきけない人からの,悪霊の追い出し (3)生まれつき目の見えない人の癒やし
- 問51:新約聖書が旧約聖書を引用する方法は4つある。マタイ2章の聖句(6節,15節,18節,23節)を使って,4つのカテゴリーについて,それぞれ説明しなさい。(ヒント:旧約聖書のメシア預言とその成就する確率。)
- 答:(1)マタイ2:6は「字義通りの預言+文字通りの成就」である。イエスはメシアとして,ユダ地方のベツレヘムで誕生した。マタイは,ミカ5:2(聖書協会共同訳ではミカ5:1)の預言が文字通りに成就したので,成就したという視点で引用した。
(2)マタイ2:15は「字義通りの意味+型」である。これは,実際に起こった歴史的事件(出エジプトの出来事)を取り上げ,それを「型(type)」として説明する引用法である。出エジプトの出来事では,神が「わたしの子」と呼ばれるイスラエルの民をエジプトから呼び出された。これが「型(type)」である。「本体(anti-type)」は,神の子の中の「神の子」である御子イエスが,「エジプト」から救出されたことである。ここでの「エジプト」とは「ヘロデの脅威」を指す。ホセア11:1の字義通りの意味は史実であって預言ではないが,その史実が新約聖書で起こったことの型になっているので引用されている。このような旧約聖書の引用法は,当時のユダヤ教のラビたちが普通に使っていた。
(3)マタイ2:18は「字義通りの意味+適用」である。この引用法も当時のラビたちが普通に使っていたもので,「実際の出来事」を現代の出来事に「適用」しようとするものである。エレミヤ31:15の文脈はバビロン捕囚で,息子たちがバビロンに連行され,二度と会うことがなくなるために,母親たちがラマ(エルサレムの北にある町)で嘆いている。ここでラケルの名前が出てくるが,ラケルはヤコブ(イスラエル)の最愛の妻だった。ラケルはイスラエルの民(ユダヤ人)の母の象徴であり代表なのである。ラケルはラマの近くに葬られたので,ラマでラケルが泣いているという表現になっている。これが字義通りに読み取ったエレミヤ31:15の意味である。新約聖書の記事との共通点は,もう二度と見ることがない息子のためにユダヤ人の母親が泣いているという点にある。この一つの共通点のために,マタイは「実際の出来事」を「適用」として引用している。
(4)マタイ2:23は旧約聖書の直接引用ではなく,旧約聖書が教えていることの「要約」である。これも,当時のラビたちが使っていた引用法である。「預言者たち」と複数形になっていることから,要約だとわかる。ナザレの人々は,紀元1世紀のユダヤ人にとって軽蔑の対象であった(ヨハネ1:46)。「ナザレ人」とは,人を非難したり,そしったりするためのことばだった。イエスは,そのような寒村ナザレで育った。マタイは,その事実の中に,さげすまれたしもべとしてのメシア預言の成就を見た。
(参考:詳細は,アーノルド・フルクテンバウム著/佐野剛史訳『メシア的キリスト論』を参照して下さい。)
- 問52:旧約聖書のメシア預言に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:旧約聖書のメシア預言とその成就する確率。)
旧約聖書のメシア預言から,メシアの初臨に関して,次のことがわかる。
(1)メシアは( )であり人である
(2)メシアが生まれる前触れとして,一つの( )が現れる
(3)メシアは( )から生まれる
(4)メシアはユダの地にある( )で生まれる
(5)メシアは( )の子孫である
(6)メシアはイスラエル12部族のうち,( )部族から出る
(7)メシアは( )の家系に生まれる
(8)メシアは紀元( )年までに生まれている
(9)メシアは( )家庭に生まれる
(10)メシアが来る前に,まず( )が現れる
(11)ヤハウェから遣わされたメシアは,与えられた使命を果たすため,( )の油注ぎを受ける
(12)メシアは( )のような預言者である
(13)メシアは( )族と( )族の地で主な宣教活動を行う
(14)メシアは( )人にも救いをもたらす
(15)メシアはモーセの律法を完全に守る,唯一の( )人である
(16)メシアは神の( )子である
(17)ヤハウェはメシアのうちに,ご自身の( )を現す
(18)メシアは初臨のとき,( )から拒絶される
(19)( )人の王であるメシアは,正しく,救いを賜り,柔和で,( )に乗って来られる
(20)メシアはイスラエル全体,特にイスラエルの( )に奉仕する
(21)イスラエル全体としてはメシアを拒否するが,少数の( )はメシアを受け入れる
(22)イスラエルの指導者たちは,メシアを銀貨( )枚で買う
(23)メシアは( )の身代わりとして苦しみを受けるが,それを( )は理解せず,彼に神の罰が下ったのだと考える
(24)メシアは黙って( )を受ける
(25)メシアは裁判を受け,( )を宣告され,処刑される
(26)しかし,その時代のイスラエルは,メシアがイスラエルの( )のために死なれたことに気づかない
(27)メシアは,極度の苦しみの中で,裁きを下す( )に向かって助けを叫び求める
(28)受難のメシアを見る人々は,メシアをさげすみ,あざけり,メシアに向かって( )を振る
(29)メシアは( )に信頼を置く
(30)受難のメシアは,取り囲まれ,( )にさらされる
(31)メシアの( )は裂かれる
(32)メシアは極度の( )を覚える
(33)苦しめる者たちは,メシアの衣服を分け合い,衣を( )にする
(34)メシアは突き刺されるという暴力的な手段で( )
(35)ヤハウェであるメシアに値積もりされた銀貨( )枚は,神殿域にある陶器師の( )に投げ入れられる
(36)メシアは,その死のときに,( )の墓に埋葬される
(37)メシアが苦しみを受け,( )ことは,ヤハウェのみこころである
(38)メシアは死後,( )する
(39)メシアの( )と( )によって,ヤハウェのみこころは成し遂げられる
(40)メシアは多くの人を( )とする
(41)メシアは,身代わりの( )を遂げることで,多くの人をヤハウェから分け与えられる
(42)メシアは初臨のときに拒絶されるが,その後,天に昇り,( )の右の座に着く
(43)メシアは,多くの人の罪を負い,背いた者たちのために,( )をする
(44)メシアは,エルサレム再建の命令が出された後,( )年経ってから刑死する
(45)メシアの死後,エルサレムと( )は破壊される
- 答:(1)神(「ヤハウェ」でも可) (2)星 (3)処女 (4)ベツレヘム (5)アブラハム (6)ユダ (7)ダビデ (8)70 (9)貧困(「貧しい」でも可) (10)先駆者 (11)聖霊 (12)モーセ (13)ゼブルン,ナフタリ (14)異邦 (15)ユダヤ (16)ひとり (17)栄光 (18)イスラエル (19)ユダヤ,子ろば (20)残れる者(「レムナント」でも可) (21)残れる者(「レムナント」でも可) (22)30 (23)イスラエル,イスラエル (24)苦しみ (25)死刑 (26)罪 (27)神 (28)頭 (29)父なる神 (30)衆目 (31)心 (32)渇き (33)くじ引き (34)死ぬ (35)30,畑 (36)富む者(「富める者」でも可) (37)死ぬ (38)復活 (39)死,復活 (40)義 (41)死 (42)父なる神 (43)とりなし (44)483 (45)神殿
(参考:詳細は,アーノルド・フルクテンバウム著/佐野剛史訳『メシア的キリスト論』を参照して下さい。)
- 問53:聖書が教える終末論に関して,穴埋めで答えなさい。(ヒント:聖書が教える救いと終末論。)
聖書を一貫して字義通りに解釈すると,終末に地上で起こる出来事は,次のような順序になることがわかる。
メシアの死と埋葬→メシアの復活→メシアの昇天→( )降臨,( )の誕生→教会時代→教会の( )→7年間の( )時代→イスラエルの民族的回心→メシアの( )→( )王国→白い御座のさばき→( )
- 答:聖霊,教会,携挙,大患難(「患難」でも可),再臨,千年(「一千年間のメシア的」でも可),新天新地
(参考:この順序を否定する人は,必ず一貫性に欠ける聖書解釈をしている。また,携挙が起こるタイミングの詳細については,第8回再臨待望聖会での中川健一先生のメッセージを参照して下さい。)
- 問54:レビ記23章に書かれている7つの主の例祭はそれぞれ何を予表しているか,答えなさい。(ヒント:聖書が教える救いと終末論。)
- 答:(1)過越の祭りはメシアの十字架の死,(2)種なしパンの祭りはメシアの血による贖い,(3)初穂の祭りはメシアの復活,(4)七週の祭りは聖霊降臨,(5)ラッパの祭りは教会の携挙,(6)贖罪の日は大患難時代,(7)仮庵の祭りはメシア的王国(千年王国)を予表している
(参考:詳細は,中川健一著『クレイ聖書解説コレクション「レビ記」』を参照して下さい。)
- 問55:教会とは何か,簡潔に述べなさい。
- 答:(1)教会とは,使徒2章の五旬節の日から携挙が起こるときまでにイエス・キリストを信じて救われた者の群れで,ユダヤ人と異邦人から成る(1コリント12:13,エペソ2:11~19)。(2)教会はキリストのからだであり(1コリント12:27,エペソ1:23),キリストが教会のかしらである(エペソ5:23,コロサイ1:18)。(3)教会はキリスト・イエスご自身をその要(かなめ)の石として,使徒たちと預言者たちという土台の上に建てられている(エペソ2:20)。(4)教会はキリストの花嫁である(2コリント11:2,エペソ5:21~32)。現在は婚約の段階。結婚式はキリストの再臨の前に天で行われる(黙示録19:7~8)。
(参考:旧約時代に教会は存在していなかった証拠の一つが,マタイ16:18。「建てます」(新改訳2017),「建てよう」(聖書協会共同訳)と訳されているギリシア語は「オイコドメーソー(οἰκοδομήσω)」で,「建てる」という意味の「オイコドモー(οἰκοδομῶ (-έω))」の未来・能動・直説法・1人称・単数。つまり,未来形なので,この時点では教会はまだ存在していないことになる。また,一度聖霊によってキリストのからだの一部とされた者が,不信仰によってキリストのからだから切り離されることがあるという教えは聖書には存在しないので,私たちは一度救われたら,決して救いを失うことはない。また,同じ理由により,クリスチャンになった者がクリスチャンをやめることはできない。)
- 問56:マタイ16:18の「この岩」とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:「告解」についての追記。)
- 答:イエスをメシアと告白する信仰告白
- 問57:キリストの使徒としての資格(条件)を四つ挙げなさい。(ヒント:クリスチャンは全員「使徒」か。)
- 答:(1)イエスに召され,イエスから権威を授けられている。(2)復活のイエスを実際に見た経験がある(1コリント9:1)。(3)聖霊の特別な霊感を受けた。(4)奇跡を行う力を与えられている(2コリント12:12)。
- 問58:使徒や預言者を名乗る人が,本物かにせものかを見分ける方法を簡潔に述べなさい。
- 答:次の二つの条件を完全に満たすなら本物,そうでなければにせもの。(1)その人の言っていることが100パーセント,聖書の教えと調和している。(2)その人の言ったことが100パーセント,そのとおりに実現する(申命記18:20~22)。
(参考:現在,キリストの使徒としての資格を有する人はいない。神の啓示は完了しているから。問14の答参照。)
- 問59:現在,使徒職の回復を主張する人たちがいる。彼らの主張は聖書的か,それとも非聖書的か,簡潔に述べなさい。(ヒント:「回復」の意味。)
- 答:「回復」とは,「一度失ったものをとりもどすこと」(『広辞苑』第七版)である。聖書によると,使徒職が失われたことは過去に一度もない。よって,使徒職の回復という主張は非聖書的である。
(参考:使徒職の回復を主張するNARムーブメントの詳細については,真理のみことば伝道協会の「日本の教会に忍び寄る危険なムーブメント–NARに関する警鐘を鳴らす–」を参照して下さい。)
- 問60:現在,人は肉体的に死んだら魂はどこへ行くのか,信者と不信者に分けて,簡潔に述べなさい。(ヒント:死後の世界(あの世)について考えることは無意味か?。)
- 答:(1)信者の魂は,天にあるパラダイスへ行く。携挙が起こると,信者の魂は復活のからだと合体し,罪の性質が全くない,栄光に輝く姿に変えられる。そして,神とともに永遠に生きる。
(2)不信者の魂は,ハデス(よみ)へ行き,苦しみ続ける。彼らにとって,携挙やメシアの再臨や千年王国は無関係である。地上の千年王国が終わると,不信者の魂は復活のからだと合体し,白い御座のさばきで自分の行いに応じてさばかれ,火の池に投げ込まれる。そして,永遠に神から切り離されて,苦しみ続ける。
- 問61:原罪とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:聖書入門.comの3分動画「原罪って,なに?」。)
- 答:すべての人が生まれつき持っている罪の性質(悪への傾向性)
- 問62:罪とは何か,簡潔に述べなさい。(ヒント:1ヨハネ3:4。)
- 答:神のみこころに反するすべて
- 問63:すべての人には生まれつき自由意志が与えられていることを,簡潔に論証しなさい。
- 答:(1)もし,人間には生まれつき自由意志が与えられていないなら,神は誰をもさばけない。なぜなら,罪を犯す以外に選択肢がない人間をさばくことは,神のご性質に反するから。(2)しかし神は,罪を犯した人間をさばかれる。(3)よって,すべての人には生まれつき自由意志が与えられている。(4)また,その自由意志が取り去られるという教えは聖書にはないので,人は永遠に自由意志を持った存在だとわかる。
(参考:まだ善も悪も行えない赤ちゃんが肉体的に死ぬのは,その赤ちゃんが個人的罪を犯したからではなく,アダムの罪に参加したから。すべての人はアダムにあって罪を犯した(ローマ5:12~14)。そして,アダム契約は今も有効なので,生きている間に携挙にあずからない限り,信者も肉体的死を免れることはできない。)
- 問64:アダムの堕落について,創世記3章とホセア6:7と1テモテ2:14から要約して,簡潔に述べなさい。(ヒント:「アダム」はヘブル語で「人」という意味。)
- 答:(1)アダムは人類の代表として神と契約(エデン契約)を結んだが,アダムはその契約を破った(ホセア6:7)。それも,イスラエルの民が,神から与えられた自由意志を悪用して神を裏切ったのと同様に,アダムも自由意志を悪用して神を裏切った。(2)エバは蛇(サタン)にだまされて罪を犯したが,アダムはだまされて罪を犯したのではなかった(1テモテ2:14)。つまり,アダムは自分の意志でサタンの誘惑に乗ったのである。このとき,アダムはエバのすぐそばにいたが,エバが神の命令に違反するのを黙って見ていた(創世記3:6)。アダムはエバの違反行為を止めることができたにもかかわらず,わざと止めなかった。(3)アダムの問題は,サタンが堕落したのと同様に,自ら神のようになりたいと思い,神の命令に従うことよりも,自分の意志で善悪の判断をしたいという自己中心的な欲求に従ったことにある。
- 問65:イスラエルは何のために選ばれたのか,簡潔に述べなさい。
- 答:全人類を救う器となるため
(参考:この選びは今も変わらない。その理由はアブラハム契約にある。)
- 問66:イスラエルは「主の聖なる民」(申命記7:6,14:2,14:21,26:19)と呼ばれ,イエス・キリストを信じる者たちは「聖徒たち」(使徒9:13,26:10など)とも呼ばれているが,この「聖」とはどういう意味か,簡潔に述べなさい。
- 答:神の御用のために選び分けられている,区別されているという意味
(参考:本質がきよいという意味ではない。)
- 問67:ペテロにだけ与えられた「天の御国の鍵」は複数ある(マタイ16:19)。ペテロはこれらの鍵を誰のために使ったか,答えなさい。
- 答:最初はユダヤ人のため(使徒2章),次にサマリア人のため(使徒8章),その次に異邦人のために使った(使徒10章)。このようにして,イエスを信じるすべての人が神の国へ入る(教会に加わる)ことができるようになった。
- 問68:私たち異邦人もユダヤ人伝道をする必要がある理由を,簡潔に述べなさい。(ヒント:(1)ローマ1:16,(2)ローマ15:27,(3)詩篇122:6~9。)
- 答:(1)福音は,まずユダヤ人へ,次に異邦人へ伝えられるべきという原則は,今も有効だから(ローマ1:16)。(2)異邦人信者が受けている霊的祝福は,本来はユダヤ人のものだった。それゆえ,異邦人信者はユダヤ人に負債を負っている。その負債を返すために,物質的なものでユダヤ人に奉仕すべきと,聖書が教えているから(ローマ15:27)。(3)エルサレムの平和のために祈ることは,ユダヤ人の救いのために祈ることである(詩篇122:6~9)。ユダヤ人の救いは主イエスの再臨をもたらす。よって,主の再臨を待ち望む者はユダヤ人の救いのために祈るべきである。
(参考:ユダヤ人を祝福する者は,アブラハム契約の条項(創世記12:3)に従って,神から祝福される。)
- 問69:「生きている間に,聖書の福音を聞けなかった人たち(例えば,キリスト教が伝わる前に生きていた日本人)は救われるのか」という問いに対して,聖書に基づいて答えなさい。(ヒント:生物学の授業で習う「進化」は事実か?の補足。)
- 答:(1)聖書には,「神は,すべての人が救われて,真理を知るようになることを望んでおられます」(1テモテ2:4)と書いてある。(2)聖書を知らない人たちにも,自然界や歴史や良心を通して,間接的に啓示が与えられている(使徒14:14~17,ローマ2:14~15)。この啓示を「一般啓示」という。(3)一般啓示を通して,世界を創造した神が存在することと,その神は力あるお方であることが明確にわかる(ローマ1:20)。(4)一般啓示に応答して生きている人には,さらなる啓示が与えられる。その方法は,人を介して聖書の福音が伝えられる場合もあれば,神が超自然的な方法で介入される場合もある。つまり,一般啓示に応答して生きている人が,聖書の福音を聞いて救われることはあり得るのである。その具体例が,使徒の働き10章に登場する百人隊長コルネリウスである。(5)一般啓示を無視して生きている人は,意図的に真理を押さえつけて,神に反抗して生きていることになるので,彼らに弁解の余地はない(ローマ1:20)。(6)以上のことから,聖書の福音を知らないで生きている人たちにも,分け隔てなく,救いのチャンスが与えられていることがわかる。(7)ただし,死後にも福音を聞くチャンスがあるという教えは,聖書にはない。(8)したがって,生きている間に,神からの啓示に応答するか否かによって,救われるか救われないかが決まる。これは,どの時代のどの場所に生きているかに関係なく言える真理である。
- 問70:真理かどうかを判断するのに,多数決は決定的な意味を持つか,聖書から具体例を挙げて簡潔に述べなさい。
- 答:例えば福音書を読むと,多数のユダヤ人がメシアとして来られたイエスを拒否した。よって,多数決による決定が必ずしも正しいとは言えない。
(参考:いつの時代も,真理を受け入れるのは少数である。マタイ7:13~14。)
おまけ:様々な聖書解釈が存在している理由について
キリスト教界の中でも,特にプロテスタント教会の中には様々な聖書解釈が存在しています。
同じ教団や教会に所属している牧師や教師によっても解釈が異なる場合があります。
その主な理由を三つ挙げて説明してみます。
第一に,心の在り方の問題があると思います。
心が頑なだと,正しい解釈を示されても,なかなか受け入れられません。
ゆえに,聖書を読むときには,常にへりくだって,いつでも自分の考えを変更できる心構えを持っておく必要があります。
第二に,人によって読解力に差があるので,解釈に相違が生じてしまいます。
この点でのポイントは,いかに文脈をしっかりと読み取れるかにかかっています。
文脈を無視して自分勝手な読み方をすると,必ず的外れな解釈をしてしまいますので,よく注意する必要があります。
第三に,ヘブル的視点で聖書を読むかどうかで,解釈に相違が生じてしまいます。
聖書が書かれた当時の人たちがどのように理解したのかを意識しないと,やはり的外れな解釈をしてしまいます。
以上の点に注意して聖書を読めば,正しい聖書解釈ができるようになると思います。
2022年11月4日更新
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