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from 2005/1/15
Column

コラム



占いの正体

人は誰もが漠然とした不安を抱え生活しています。何をしても自信が持てません。 安心感を得るためには、身の回りのありとあらゆるものに対して、超自然的存在(神仏、運命、守護霊‥‥ )のご意向を伺い、お墨付きを賜らなくてはなりません。 特に、人生の大きな決断の場面においては、他の誰の言葉よりも心強い存在となり得ます。 占いが廃れないのは、超自然的存在、また、それらにまつわる、祟りやご利益というものを信じている人が多いということです。 その向こう側にあるとされる神秘的世界からのメッセージを期待しているからに他なりません。

良い事柄に関しては、誰の所為なのか、誰のおかげでも構いませんが、 悪い事柄に関しては、誰の所為なのか、どうしてそうなったのか、犯人を見つけたい、原因をハッキリさせたいという心理が働きます。 科学も発達していなかった時代には、その責任を超自然的存在に押し付けるのが最も合理的な判断であったわけです。 たまたま偶然では納得できません。その事件を引き起こしたのは超自然的存在であると考えたわけです。 天変地異、疫病、事件、事故、よい事わるい事、この世で起きたすべての事柄を神仏や怨霊や物の怪の仕業として人々は納得したわけです。

迷信に支配されていた時代は終わりを告げましたが、いまだにそうした宗教観は人々の心の中に強く残されています。 いきなり科学を持ち出して、超自然的存在を否定したところで、そう易々と頭を切り替えられるものでもありません。 この科学万能の時代になっても、身の回りで起きた事件の原因を超自然的存在に求めようとする方々が数多くいらっしゃいます。 今朝見た夢、手のひらのシワやホクロ、名前の画数、生年月日、星座、血液型など、その矛先は数え上げたらきりがありません。 ひとたび何かが起これば、自分以外の誰か何かの所為だと思ってしまうのです。

プラスの感情は、その時一瞬だけで長続きはしません。幸せは、すぐに日常として移り変わっていきます。 逆に、マイナスの感情は、どんなに些細な事でも心にしこりとなって残り易いのが特徴です。 そのため、全体として総括すると、恵まれない人生、運の悪い人生と感じる人の割合が多くなります。 人の思考は簡単・便利・お手軽が基本です。努力・責任という言葉は大嫌い。面倒・難しいことには係わりたくありません。 超自然的存在にまつわる習俗や俗信は、人生に恵まれないことに対しての言い訳の最有力候補として、今日まで廃れることなく受け継がれてきました。

果たして、占いの正体とは。

太古の昔から、多くの文明において、「神」という概念が存在します。 その神のご意向を伺う手段が「占」、神に願いを伝える手段が「祈」となります。すなわち、「神」「占」「祈」は三位一体です。 現実には、神は実在するものではありません。神は心の中で信じるものです。一方で、社会の成り立ちから、神という概念は必要不可欠なものでもあります。 そのため、宗教的・商業的な側面から神は存在するものとして扱い、かろうじてこの関係(神にまつわる設定)を維持しているというのが実状です。 占いの正体とは、人類有史以来の『お約束』です。

所詮、超自然的存在などというものは空想上の存在に過ぎません。神が存在するという思想それ自体が、迷信を出所とする嘘八百のデタラメです。 嘘八百をどう捏ね繰り回した所で、現実問題として、何も起こりません。 困った時には、誰か何かに助けてもらいたいと思うのは人情ですが、たとえ、どんなに心を込めて祈ろうとも、その想いが届くわけでもありません。 突如として空から現れた誰か何かが、あなたを助けてくれるわけもありませんし、邪魔をするわけでもありません。 巷に氾濫する迷信に振り回されないようにして頂きたいと思います。

今に受け継がれている占いの多くは、古代の中国思想に基づいています。 すなわち、中国思想に照らし合わせ、昨日見た夢、文字の字画、誕生日、入籍日、方位方角、厄年などが、縁起が良いのか悪いのかを判断するということになります。 「何かを示している」「必ずそうなる」というような科学的根拠に基づいた話ではなく、中国思想に基づいて吉凶を判断しただけの話に過ぎません。 得られた結果に有用性や有効性はありません。 それによって現実世界の何がどうなるというものではありません。あくまでも「縁起物」として捉えてください。

占いの結果は、中国思想の中では「○○な人生をたどり易い傾向がある」ということを伝えているに過ぎません。 占いを信じすぎるがあまり「占いが暗示するような未来になったら心配」と、占いの背後に潜む魔力を危惧される方も多いようですが、そのような事はあり得ませんので安心してください。 占いの結果それ自体が、何か不思議な力を発揮して、人生に影響を与えるということはありません。 したがって、結果が良くても悪くても、あまり深刻に考える必要はありませんが、中国思想的には、そのような傾向があると頭の片隅において置くと良いでしょう。

占いの結果それ自体に、祟りがあるわけでもありませんし、ご利益があるわけでもありません。 占いを娯楽として縁起物として楽しむ分には問題ありませんが、それによって心配や不安が助長されるようであれば、 科学的見地からの解釈を取り入れてみるのもひとつの方法です。今は迷信に怯えて暮らす時代ではありません。 古来より受け継がれるファンタジーな成分はなくなってしまいますが、いわれも知らない祟りに怯えるより、ずっと賢明な方法だと思います。 占い依存症の克服のための一助としても、本HPを活用してください。

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