Column
人生の方向性を決めるもの
運命や宿命の正体
生まれつき人生に恵まれている人。恵まれていない人。特別な努力もしないのに、平穏な人生を過ごす人。
どんなに努力したとしても、苦難がつきまとう人。
生まれた時、すでに人生の方向性は決まっています。
お母さんのお腹の中で、卵子と精子が受精した段階で、遺伝子DNAをはじめとする ① 先天的要素が確定します。 ① 先天的要素とは、遺伝的要素(性別、顔貌、容姿、思考傾向、行動傾向、性格傾向、得意分野、病気傾向‥‥)、家庭環境(身分、家柄、社会的地位、資産‥‥)など、 生まれながらに授けられた、その人を取り巻く環境のことです。人生の要素を100とすると、① 先天的要素は25~60%の影響力を持つともいわれています。 時には、その血筋に生まれただけで、人生が決まってしまうこともあります。代々の世襲などがそれに当たります。
両親から受け継いだ遺伝子DNAに起因する資質や性質は、努力したところで変えることはできません。 何事にも原因があって結果があります。何もしなければ、何も起きません。ある方向性を持った行動を取れば、それに従った結果が出ます。 成功するような人は、死ぬまでずっと成功につながるような行動をしていきます。失敗するような人は、死ぬまでずっと失敗につながるような行動をしていきます。 傍から見れば、何か得たいの知れない不思議な力に人生が操られているかのように映りますが、その原動力となっているのは遺伝子DNAの働きなのです。
運命と聞くと、神様から与えられた避けては通れない試練のようなものを連想します。 しかしながら、失敗した原因をよくよく分析してみると、常日頃の利己的な行動のツケによることが多いと気付きます。 利己的な行動の原動力は、遺伝子DNAに起因するところの資質や性質といった ① 先天的要素です。 これらは途中で修正することは難しく、一生を通じてその人の生き方に影響を及ぼします。 如何にしても、② 後天的要素や ③ 偶然的要素は ① 先天的要素の呪縛から逃れることはできません。これが巷で語られるところの運命の正体です。
人生 = ① 先天的要素(遺伝的要素、家庭環境‥‥)
+ ② 後天的要素(育つ環境、経験、努力‥‥)
+ ③ 偶然的要素(運、チャンス、めぐり合わせ‥‥)
「宿命」(①)とは、先天的要素。生まれてから未来永劫変えられないもの。
「運命」(①+②+③)とは、後天的要素を含んだもので、ある程度変えられるのもの。
「運勢」とは、運命の勢い・強さと定義します。
宿命(①)は未来永劫変えられません。 運命(①+②+③)はある程度自分の力で変えられます。宿命は人生の設計図。運命は施工図にたとえられます。 設計図をもとに現実に沿ったものに書き直したのが施工図です。完成したものが人生となります。運命とは、決められた未来という意味ではなく、「人生の方向性」という意味です。 その人が持つ資質や性質などを原動力として、「どのような人生を歩み易いのか」という意味になります。 ただし、これらは基礎の土台部分に過ぎないので、人生すべての行程が規定されるわけではないということを付け加えておきます。
人生には「たまたま偶然」という要素も大きく作用します。人との巡り合わせ、事件、事故、自然災害、病気、寿命など、その時は、ある日突然、断りも無しにやってきます。 人生に恵まれない原因を紐解いて行くと、ただ単に、運やチャンスに見放されただけという人も少なくありません。 当然、その逆もあります。③ 偶然的要素は人智では予測不可能です。偶然的要素が重なれば、異常開運( ⇔ 異常悲運)することもあり得ます。 したがって、上段に示した運命とは、その時点における「要素」「可能性」として捉えるべき性質のものであることを理解してください。
人には、誰にでも平等に無限の可能性が秘められているわけではありません。 人が生まれながらに授かった ① 先天的要素に起因するところの人生の方向性は間違いなく存在します。 もともと備わってもいない資質や性質を利用しようとしても、また、伸ばそうとしても、良い結果が得られないのは言うまでもありません。 もし、努力する方向を見誤れば、芽が出る確率も低くなります。 したがって、今後の人生修養にあたっては、長所(好ましい先天的要素)を活かす方法、あるいは短所(好ましくない先天的要素)を矯正する方法を考えるのが重要です。
人生とは、あなたの行いが周囲の人間関係に反映され、あるいは社会活動に反映され、その結果として、つくり上げられて行くものです。 今の人生をつくり上げたのは、あなた自身です。恵まれた人生を歩んでいる人は、陰日向で、そうなるように現実的な努力を続けてきたわけです。 逆に、恵まれない人生を歩んでいる人は、努力を怠ってきたわけです。そうなるべくしてなったのです。人や社会を恨んでいても道は開けません。 所在も知れない何かに責任を押し付けるのではなく、まずは自分自身の行動を振り返ってみてください。努力する方向を間違えないでください。